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経営トップと専門家50人が明かす「2016年ニッポン経済、私はこう見ている」
注目する会社一覧付き
再開発ラッシュで街並みが変わる。株式市場も大きく動き出す〔PHOTO〕gettyimages

不確実とリスクがばら撒かれた世界の様相は、今年も変わらず続いていく。ただし、この不透明な霧の世界に、段々と目は慣れてきた。先を読む者だけが勝つ。戸惑いと迷いの2015年から、確信と決断の2016年へ。

ヒト、モノ、カネが動き出す

「2015年はインバウンド(訪日観光客)需要が爆発的に増加して騒がれました。そろそろ頭打ちではないかという声もありますが、私はそうは思いません。日本の経済力や人口を考慮してアジア各国と比較をすると、むしろ、インバウンド需要はまだまだ伸びシロが大きい。欧米でテロ事件が多発していることを考えると、日本の観光地としての魅力が相対的に高まるとも見られます」

日本航空元社長の西松遙氏が言う。

「さらに言えば、'15年はインバウンドに見られるように日本と外国の間を『ヒト』が数多く動いた年でしたが、一般的に『ヒト』が動いた後には『モノ』の移動がついてくる。しかも、TPP(環太平洋経済連携協定)の大筋合意で、モノの動きがより活発になるのは目に見えている。2016年は『ヒト』と『モノ』の両方が大きく動き、日本経済の牽引力になることが期待できるわけです。

日本の観光資源のエース的存在であるディズニーランドはさらに活況を呈するでしょうから、オリエンタルランドは期待できる。モノが動けば、活躍するのは商社。中でもTPPで食糧流通が盛んになると考えると、伊藤忠商事に注目したい」

経済を人体にたとえるならば、モノとヒトの動きは血液の流れそのもの。血液が勢いよく体内を流れ始めれば、体温が上がり、活気が生まれ、経済全体にパワーがあふれ出す。

2016年の経済は明るいのか、暗いのか—。今回、そんな問いを経営トップらに投げかけると、思いのほかに、「明るい」という答えが多かった。

これまでは一部の限られた企業・業種にしか好景気の恩恵は感じられなかったが、今年は違う。日本全国でモノとヒトが慌ただしく動きだし、各地に活況の声が響きわたるというのだ。

モノもヒトも、すでに大きく動き出している。

「各地の物流施設や倉庫は高稼働状態が続いており、新しい物流施設用の用地取得競争が激化しています。物流施設の管理・開発などで業界トップのシーアールイーは、施設や倉庫の高稼働で高収益を達成。物流施設に特化したJ‐REIT(不動産投資信託)にも、続々と資金が集まっている」(スプリングキャピタル代表兼チーフ・アナリストの井上哲男氏)

「ビジネスホテル業界が空前の大活況です。都内だけではなく、福岡など地方でも、出張サラリーマンが予約が取れないと嘆くほどの満室続き。アパホテルは3万円台の室料を提示して、業界では『帝国ホテル並み』と話題になったほどです。業界最大手の東横インは『おもてなし』を超えたゆっくり落ち着ける『我が家感』が大人気で、勢いが止まらない」(ジャーナリストの塚本潔氏)

今年は日本全土で開発ラッシュも巻き起こる。これがモノとヒトの流れをより一層加速させ、景気を力強く回していく。

「いよいよ今世紀最大の大工事と言われる、リニア中央新幹線の工事が本格化します。日本列島の中心を貫く巨大工事。2027年の開業に向けて、新駅建設、トンネル、橋梁、電気工事などが続々と着工していくわけですから、波及効果は莫大です。たとえば、特種東海製紙という製紙業界の中堅企業は、一見関係ないようでリニアの恩恵を受ける。同社が静岡県内に持つ社有林の下をリニア新幹線が通る予定なので、工事用地や土砂置き場としての賃貸収入が入ってくる」(ちばぎん証券顧問の安藤富士男氏)

「象徴的な案件になりそうなのが、平和不動産が手掛ける兜町の再開発プロジェクト。証券街の兜町を再開発し、個人投資家や次世代を担う企業家なども集う新たな金融街化しようとする意欲的で画期的なものです。日本マーケットに外国人の目が向いているいま、この再開発案件が注目されることで、新規マネーの呼び水になるかもしれない。兜町復活が日本再生の起爆剤となる可能性もある」(セゾン投信社長の中野晴啓氏)

ヒトとモノにカネが加わり、これらが一体となって動き出す。そんな好循環の兆しが、もう手の届くそこまで来ているわけだ。

冷え込みばかりが強調される消費の現場でも、期待できる新しい動きが出てきた。ジャパネットたかた前社長の髙田明氏が言う。

「いま、アクティブシニア消費がどんどん増えているんです。日本では65歳以上の高齢者が3300万人ほどいますが、このシニアマーケットがいよいよ活況を呈してきた」

3人に一人が高齢者となる日本では、このマーケットこそが爆発力を秘めた巨大市場となる。これまでは預金をため込む傾向にあった高齢者だが、アクティブシニアがいよいよそのカネを使い出し、高齢者市場を牽引し出した。

髙田氏が続ける。

「アクティブシニア消費の特徴は、単に価格が安い物というのではなく、いい物が少し安くなってきた時に商品が動くということ。7万~8万円の高級炊飯器が5万円になると買われたり、現在では4Kテレビや50インチの大型テレビが手頃価格になって売れてきました。長くテレビ不況と言われていましたが、2016年はテレビ復活の年になるでしょう。

高齢者の方は、これまで若者向けと思われていたタブレット端末なども購入します。今後は新しい高齢者向け商品が続々とヒットする可能性が出てくる。注目している会社は、接客サービスから価格、配達体制も充実しているヨドバシカメラさんです」

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