いま本当に必要な政党とは
〜空虚にもホドがある民主と維新の合意

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12月7日、民主党と維新の党が今年1月の通常国会から統一会派を結成することで合意した。

今回の合意では、維新の党の松野頼久代表や民主党の前原誠司元代表、細野豪志政調会長らが目指していた、両党が解党して新党を結成するという話はまとまらなかった。合意文書にあるのは、「両党の結集も視野に……信頼関係を高める」。その先は全くの白紙だ。

同時にまとまった「基本的政策合意(案)」も、民主のタカ派と左派・リベラル派・組合派に配慮した何でもありの玉虫色。まるで官僚が書いたかと見まがうばかりのレトリック満載だ。

いくつか例を挙げよう。

今、野党共闘の最大の焦点である安保法制については、「憲法違反など問題のある部分をすべて白紙化する」と書いてあるが、完全廃案にはしないことだけがわかるのみで、どこがどう違憲なのかは全く書いていない。ほとんど合憲だから、ちょっとした微修正だけとも読める。

憲法についても、「地方自治など時代の変化に対応した必要な条文の改正を目指す」として、憲法「改正」を明記した。9条改正も「時代の変化に対応した」ものだと言えばできる。この点を民主党タカ派は高く評価するが、維新ハト派からは「ひどい」という声が上がる。

国民の関心が高い「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)」という3文字は見当たらない。替わりに「経済連携協定」という一般名詞にして、TPP以外のものも含めて是々非々で行くと書いてある。逆に言えば、TPP賛成もあるということをうまく隠した書き方である。

原発については、2030年代まで動かせることを明記した。しかも、再稼動は「国の責任」とすることで、結果的に原発運営に国が積極的に関与し、税金を投入する余地が与えられており、原発停止への積極的な姿勢は感じられない。

また、核のゴミ対策も、最終処分場選定プロセスを「開始」するという記述にとどまり、具体性がない。民主党が電力総連や、電機メーカー・機械メーカーなどの基幹労連の歓心を買うための書きぶりだ。

さらに驚いたのは、維新の党の最重要政策である公務員改革について、人件費2割削減をほぼ放棄したことだ。スト権などの労働基本権回復まではお手盛り機関の「人事院勧告制度を尊重する」、すなわち、人事院に賃上げ勧告をさせて、毎年の賃上げを確保すると書いた。

しかも、人件費削減は、「職員団体等との協議と合意を前提」と書くことで、組合が反対すれば削減できなくなった。これでは、削減目標の完全放棄に等しい。

消費税増税も、事実上何もしないまま認める道を開く書き方になっている。

これでは、両党が合流できても、改革はできない上に平和主義も放棄しかねない、とんでもない政党ができるだけだろう。よく考えたら、おおさか維新とあまり変わらない政策である。

今必要なのは、真の意味での改革ができて、しかも平和主義を守ってくれる政党だ。明確な政策軸を掲げて、心ある人たちが民主と維新を離党し、新党を作ったらどうだろうか。その上で、共産党とも選挙協力をする。それくらいしなければ、国民の支持は得られないだろう。

『週刊現代』2016年1月2・9日合併号より

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