賢者の知恵
2016年01月09日(土) 週刊現代

ラグビー「ブライトンの奇跡」〜エディ・ジャパンの通訳とメンタルコーチが明かす歴史的偉業の舞台裏

荒木香織×佐藤秀典×野中敬義

週刊現代
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リーチは体を張ったプレーと勇気ある決断で奇跡を演出〔PHOTO〕gettyimages

大会前のW杯勝利数は南アフリカ25に対し、日本はわずか1。しかし使命感に燃えるサクラ戦士は勝利を信じた。奇跡の瞬間、教え子たちは「師匠」を超えた。

目に見えない力

野中敬義 ワールドカップ(W杯)史上最大の番狂わせとなった南アフリカとの激闘からもう3ヵ月が経ちますが、ラグビー人気は衰えを知りません。

のなか・たかよし/'86年東京都生まれ。青山学院大卒業後の'09年に日本テレビに入社。11月までスポーツ局でスポーツニュースのディレクターを担当

荒木香織 W杯に行く前は想像すらできなかった状況ですよね。

あらき・かおり/'73年京都府生まれ。兵庫県立大学環境人間学部の准教授で健康スポーツ心理学の博士。エディジャパンではメンタルコーチ

佐藤秀典 私がチームの通訳に就いたのは今年の4月からですが、5月に秩父宮で行われたアジアラグビーチャンピオンシップの試合でエディ(ジョーンズ)さんが「今年はW杯イヤーで記者の数も増えたけど、ヘッドコーチ(HC)就任1年目の'12年はライター二人と犬1匹だけだったよ」と話していたのを思い出します。

さとう・ひでのり/'81年東京都生まれ。10歳で豪州へ移住し、現地の高校を卒業。トップリーグ・キヤノン通訳などを経て、'15年4月から日本代表通訳

野中 荒木さんは、エディジャパン結成時からメンタルコーチとして携わってこられましたが、南アフリカ戦はどこにいましたか?

荒木 スタンドにいましたが、当初W杯に行く予定はなかったんです。昨年9月に生まれた子供の育児に追われていて、日本のTVで応援するつもりでした。でも、エディさんから再三「選手からの要望だから」と説得され、急遽、子供と一緒に現場に行くことに決めました。

佐藤 私はエディさんと一緒に、スタンドにあるバルコニーで見ていたので、観客の歓声がダイレクトに聞こえました。接戦のまま迎えた後半、日本がボールを持ったり、タックルすると「ジャパン」「ジャパン」と大声援。あれには鳥肌が立ちました。

荒木 試合の数日前にスクラムコーチのマルク(ダルマゾ)が「W杯はすごく独特で、スタジアムのお客さんが日本を応援するようなコールをし始めたら、勝つ可能性がある」と話していた。これがそうなのかと感じました。目には見えないけど、人のエネルギーは後押しになる。約3万人の観衆が応援してくれたら、できないこともできるんです。

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