出演者は東大・早大・慶応大の卒業生ばかり…討論番組はいつから高学歴エリートに支配されてしまったのか
Wikipediaより

若きエリートによる意見交換

元日の深夜にNHK教育テレビ(Eテレ)で放送された『新世代が解く! ニッポンのジレンマ』における、20代の女性=ベンチャー企業代表で東大大学院生=の発言が、SNS上で物議を醸した。

『ニッポンのジレンマ』は1975年以降に生まれた人たちによる討論番組で、2012年に始まった。昨年までの出演者は70年以降生まれに限定されていたが、今回から年齢制限があらためられた。

過去の討論のテーマは「資本主義」や「男女共同参画社会」、「芸術」など多岐にわたった。今回のタイトルは「『競争』と『共生』のジレンマ」で、資本主義の原理である自由競争と民主主義が目指す平等な共生の両立が実現されているかどうかを、11人の若者が話し合った。ちなみに、司会は古市憲寿さん(30) =社会学者、東大大学院生=と青井実アナウンサー(34)で、やはり75年以降生まれだ。

女性は番組内で、経済的に貧しい人が生まれる理由について、「ただの情報格差であったり、想像力、知識を得られないでいるため」と考察。生活に困窮する人をサポートする現行の生活保護制度については、「あまり良いと思ってない」と否定的な考えを示した。その上で、「生活保護ではなく、最低限の社会貢献をしたとき、それに対応して何かを分配する」という新しい仕組みを提案した。

女性の発言について、SNS上では賛否が分かれた。福祉関係者やジャーナリストら生活保護制度の実情を知る人ほど、女性の発言には批判的だったようだ。

そもそも女性の発言は、健常者で労働年齢層(15~64歳)の生活困窮者を念頭に置いたものと受け取れた。だが、実際に生活保護を受けている約163万世帯のうち、5割近くは65歳以上の高齢者世帯。働きたくても働けない、傷病者世帯と障がい者世帯の割合も3割以上に達する。発言と実態は噛み合っていない。反論が出るのも無理からぬ話だった。

「ニッポンのジレンマ」(NHK)HPより

また、現在は子供の6人に1人が貧困状態にあるとの指摘もあり、生まれたときから社会貢献どころではない人は少なくない。第一、何が社会貢献なのかを決める物差しなど最初から存在しないのだから、批判の声が上がるのも仕方がないことだろう。

筆者は、発言を責めるつもりは毛頭ない。討論番組なのだから、公序良俗に反しない限り、何を発言しようが自由。むしろ、女性の発言は興味深かった。若くして会社を起こし、東大大学院に通う人が、弱者とされる人たちに対して、どんな考え方を持っているのかが分かったからだ。

『ニッポンのジレンマ』自体も面白い番組だと思っている。長く続いてほしい。だが、もどかしい面もある。参加者が、いわゆる学歴エリートに偏っている点だ。今回の放送の場合、出演者11人の母校は東大(院も含む)が8人、早大が2人、アメリカの大学が1人。これでは、若者たちの討論というより、一部の若き学歴エリートたちによる意見交換に見えてしまう。

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