格闘技
井上尚弥は「世界最高のボクサー」になれるか?ローマン・ゴンザレスとの一戦を徹底シミュレーション
父が語り尽くす
井上 真吾
死闘として語り継がれる昨年9月の八重樫×ロマゴン戦【PHOTO】gettyimages

八重樫選手が渡してくれたバトン

「暴力的なボクシングではない。計算の上でつくられた繊細で緻密なボクシングをする。でも、基本的なスピードは尚弥の方が速い。尚弥はディフェンスもいいので、尚弥の距離で戦えるかもしれない」

パンチのつなぎや角度、緩急、テンポについて伝えると、八重樫選手は拳を尚の胸にあて、

「尚弥、おまえなら勝てる」

と尚にバトンを託してくれたようです。

ファンが「八重樫対ロマゴン」ではなく、「尚対ロマゴン」を観てみたいと思っていることを聡明な彼は理解し、自分を押し殺し、尚に委ねたのです。

中学三年生のときから何かにつけて親切にしてくれる先輩です。尚はその受け継いだものをどのような形で皆さんにお見せできるのでしょうか。ロマゴンとの試合では通常の試合の五試合分にも相当するほどの成長をするでしょう。

勝てば、「軽量級最強」の称号を得るでしょう。ロマゴンに勝てば、尚の名は全世界のボクシング関係者に記憶されることでしょう。それはとても名誉なことです。近い未来には二人の試合が組まれるでしょう。ロマゴンとの試合が一つの終着点となることは間違いありません。

「しっかり作戦を練り、練習を積み上げていけば相手が誰でも負ける気はしない」、自分はそう思います。尚も同じ気持ちです。ロマゴンの強打にも負けない肉体、精神を築く練習を編み出していくつもりです。

ただ、「体重」というまた別の敵もあります。右拳の怪我で一年近く試合もできなくなりました。体重は維持していますが、本格的な減量はしていません。スーパーフライ級に落とすのも精一杯となりつつあります。22歳と肉体はまだ成長していきます。練習で築いた筋肉を削ぎ落とすのは意味がありません。一つ上のクラスのバンタム級への転級も選択肢の中にないわけではありません。

バンタム級にはあの日本人王者がいます。WBC世界バンタム級の山中慎介チャンピオンは九度目の防衛に成功し、日本記録である13度防衛まであと四戦となりました。しかし、山中王者は「防衛回数に興味はない。強い相手と戦いたい」と公言しています。この心意気たるや、まさに真の王様です。

拓もOPBF東洋太平洋スーパーフライ級王者となり、世界戦が目前に控えています。二人同時に世界のベルトを巻くと宣言しています。自分はその夢を実現させます。