格闘技
井上尚弥は「世界最高のボクサー」になれるか?ローマン・ゴンザレスとの一戦を徹底シミュレーション
父が語り尽くす
井上 真吾
圧倒的強さを誇るローマン・ゴンザレス【PHOTO】gettyimages

恐ろしく優れたロマゴンの体幹

ロマゴンの気質は南米の選手にありがちな傾向ですが、対戦相手がそう強くもないと練習不足のままリングに上がり、もたつくこともあります。一方でしっかりと仕上げた試合では圧倒的な強さを誇ります。新井田豊選手、高山勝成選手、八重樫東選手など日本のトップ選手を退けています。

2014年9月のWBC世界フライ級タイトルマッチは八重樫選手の健闘も光りましたが、ロマゴンの強さ、不気味さがクローズアップされる結果となりました(試合結果は、八重樫選手の9回TKO負け)。

自分としては、ナルバエス戦も含めて五戦目くらいで、2016年にはロマゴンと対戦したいと思いました。相手は軽量級最強なので、こちらも準備をして臨む必要があります。ロマゴンとやるならば、一年はしっかりと準備をして勝算を高めていきたいです。

彼には日本人にはない身体の強さがあります。身体がぽっちゃりしているので、もともとナチュラルにパンチ力があるのでしょう。トレーナーとしてロマゴンを見ると、フィジカルには相当な余白がありそうです。それでもあの強打です。どの筋肉が強いというよりも、バランス良く筋肉がついていて、体幹の強さがうかがえます。

尚と同等かそれ以上でしょう。その体幹の強さから繰り出される強打、そしてパンチとパンチのつなぎが優れています。体幹が強いと身体の軸がブレにくいのです。スムーズな連打ができ、さらにその拳は重い。コンビネーションの切れ目がわからず、どのパンチが誘いでどのパンチで仕留めにきているのか読みきれない怖さもあります。

ですが、八重樫選手との試合では結構パンチももらっていました。やはりどんな選手でもショートの連打は防ぎきれないものです。右ストレートを打つと身体が流れるなどの「穴」も見えました。尚のトップスピードにはおそらくついてこられないと思います。

ただ世界戦であれば12ラウンドあるわけです。いかにトップスピードの80パーセントを維持しながらフルラウンドを戦い、尚の距離を保てるかが鍵となるでしょう。勝つためには、ジャブやステップワークの進化が必要です。尚も何発かもらうでしょう。

あの強打をもらっても耐えられる肉体。耐えられればロマゴンが躍起になって打ちにくるのでスタミナもロスするでしょう。多彩な能力を高めるためにはいろいろな準備が必要になると考えています。