格闘技
井上尚弥は「世界最高のボクサー」になれるか?ローマン・ゴンザレスとの一戦を徹底シミュレーション
父が語り尽くす
昨年12月、強豪オマール・ナルバエスを倒した井上尚弥【PHOTO】gettyimages

本日29日、WBO世界スーパーフライ級チャンピオンの井上尚弥が初の防衛戦に臨む。日本のジムに所属する世界チャンピオンは現在10人を数えるが「最も強いのは井上」との呼び声も高い。

そんな井上の強さの秘密を、父であり、尚弥のトレーナーでもある井上真吾氏が語りつくした一冊『努力は天才に勝る!』が発売された。

井上家のトレーニング方法や、精神の鍛え方が詳細に記されたこの本の中から、真吾氏がボクシングファンの夢でもある、「世界最強と呼ばれるあの男と井上尚弥が戦ったらどうなるのか」をシミュレーションしたパートを、独占公開する。

弱い相手と戦っても意味がない

井上家といえば、その代名詞、枕詞となっているのが、 「強い相手以外とは戦わない」――ではないかと思います。たしかに大橋ジムに入門する前に会長にはそう言いました。

しかし、言葉が一人歩きしている面も否めません。その後にちゃんと言葉があるのです。
「それは弱い相手と戦っても意味がないから」

誰が見ても勝てるような選手と試合をするのは意味がないと思っています。といって、尚のレベルが「10」のときに「100」の力を持つスーパー王者に挑戦するのも無意味です。相手には「10」か「11」のレベルが必要です。同じようなレベルの選手に競り勝った試合はボクシングの幅を広げます。対戦相手から学ぶこと、盗めること、いくつもの発見があるのです。

「勝てる相手とばかり戦う」――それは選手にとって意味がないと断言できます。成長も望めず、真面目な選手ほど、やがて性根が腐ってしまいます。「あの程度の相手なら」と練習も軽くなり、ひいてはボクシングそのものをナメてしまうことにも繋がるのです。

軽量級最強の選手が待っている

尚が戦わねばならない相手がいます。ボクシングファンもその対戦を待ち望んでいることは承知しています。

ローマン・ゴンサレス選手です。

ニカラグアが生んだ怪物、現WBC世界フライ級チャンピオン。WBA世界ミニマム級チャンピオン、WBA世界ライトフライ級スーパー・チャンピオンの実績もあります。

プロで43戦43勝(37KO)無敗。アマチュアで87戦87勝無敗、つまりプロアマ合わせて130戦して一度も負けていません。驚異的なレコードからもわかるように本物の強者です。リング上では無慈悲ともいえる攻撃で対戦相手を潰しますが、ゴングが鳴り終わると対戦相手に敬意を表します。

ファンから握手や撮影を求められると、喜んで応じます。日本のボクシングファンの間では「ロマゴン」のニックネームで親しまれています。敬意を持って自分もそう呼びます。