雑誌
独占スクープ「ヤクザと芸能界、ぜんぶバラすぞ」〜なべおさみが見た昭和の大スターたちの実像

「芸能人は堅気じゃないんですよ。勘違いしたら終わり」—昭和の時代を彩った表裏の主役たちとの驚きの交友を綴った『昭和の怪物』『やくざと芸能界』を同時刊行したなべおさみ氏(76歳)が、あの大スターたちのヤバすぎる話を思いっきりぶちまける!

私が知る「人間・高倉健」

高倉健さんと菅原文太さんが逝って早いもので一年が過ぎました。

二人は私に芸能界という「ハレ(非日常)の世界」を教えてくれた大先輩です。振り返ると芸能界に入って四十数年。私はずっと、あの草履取りの木下藤吉郎の視線で、多くの信長——お屋形様のような大物たちを見てきました。

そもそも、芸能界はヤクザな稼業でした。

健さんは常々私にこう話していました。

「なぁ、なべ。ハレの世界を飾ることで、一般の人たちに喜びや夢を与えることが、オレたちの稼業であり、生き方なんだ。だから己が苦しもうが何をしようが、それを決して見せちゃダメだ」

そんな映画俳優としての正義を徹底的に実践したのが、健さんでした。

健さんにしてみれば大学生のくせに芸能人の付き人をしていたチビでヘンチクリンな私を面白がってくれていただけなのかもしれません。明治大学の大先輩でもある健さんには、仕事よりも、プライベートで言葉に言い尽くせないほどお世話になりました。

健さんは私に「ハレの世界」では決して見せない、本人の素のままの「ケ(日常)の世界」を見せてくれました。

まだ大部屋俳優だったころの小林稔侍が銭湯から出ると、ポルシェに乗った健さんが、

「乗れや」

と。ランニングにステテコ姿の稔侍を石鹸箱と手拭いごと乗せて、日本中を走り回って外国をほっつき歩いて2年間。

そんな姿が、ごく限られた信頼できる人だけが知る生身の「人間・高倉健」でした——。

いまどきの芸能人のなかには、真実の姿を恥ずかしげもなく見せてしまう人もいます。ですが、「ハレの世界」で生きるからこそ「ケの世界」を徹底的に隠し続ける矜持を持つ人もいるのです。