世界経済 中国
ネットにあふれる怨嗟の声
中国と習近平の「悪循環」が止まらない

経済失政、戸籍差別、権力闘争…2016年、何が起きてもおかしくない
〔PHOTO〕gettyimages

イソップ寓話に、「ロバを売りに行く親子」という話がある。農夫とその息子が、飼っていたロバを売るため、ロバを引いて街の市場へ向かった。すると通行人が「誰も乗らないなんてもったいない」と指摘したので、父は息子を乗せた。

しばらくして別の通行人が、「何と親不孝な息子だ」と指摘したので、今度は父が乗った。するとまたしばらくして別の通行人が、「子供だけ歩かせるなんてひどい親だ」と指摘したので、今度は親子で乗った。

さらに行くと、通行人が「ロバがかわいそうだ」と指摘したので、親子でロバを担いだ。そこは橋の上で、突然担がれたロバはビックリして暴れ出し、橋の下の川へ落ちて死んでしまった――。

2015年の中国経済と習近平政権の対応を見ていると、まさに「ロバを売りに行く親子」の物語を髣髴させた。やることなすこと後手後手かつ付け焼き刃的で、あちらを立てればこちらが引っ込む。そして、状況はますます悪化していくという悪循環である。

「新常態を認識し、適応し、導いて行かねばならない」

習近平主席は、今年の締めくくりである中央経済工作会議を、12月18日から21日まで、北京西郊の人民解放軍総参謀部が経営する「要塞ホテル」京西賓館で開いた。参加者は、党中央委員会メンバーら約400人の面々だ。

習近平主席は直前に散髪したらしく、さっぱりした様子だったが、笑顔もないままに、今年もう何十回目か知れない重要演説をぶった。

中国経済は全体としては平穏に運行しており、平穏な中に進展があり、平穏な中に好転がある。中国経済は中高速成長を保持しており、経済システムは改善されている。改革開放は縦横に深く邁進しており、民生の改善は持続し、社会の大局は総じて安定的なのだ。

今年の主要目標は達成したし、(2011年~2015年の)第12次5ヵ年計画は勝利を収め、わが国をさらに高い発展段階に押し上げたのだ。

新常態を認識し、新常態に適応し、新常態を導いて行かねばならない。それこそが、今後一定期間のわが国の経済発展の大枠のロジックなのだ。

来年の戦術上のキーポイントは、生産過剰を改善し、在庫を一掃し、レバレッジをやめ、コストを落とし、律速段階を補う。これが5大任務だ。

具体的には、第一に積極的に生産過剰を改善していく。それには企業合併を増やし、破産企業を最小限にとどめる形で収めていくのだ。

第二に、企業のコストカットだ。仲介サービスを整理し、企業の税負担を抑え、「五険一金」を簡素化し、電力価格を抑え、流通システムの改革を進めるのだ。

第三に、不動産の在庫一掃だ。これには都市戸籍を増やして都市化を進め、一刻も早く農民工(出稼ぎ労働者)を都市市民にするのだ。戸籍制度改革を進め、農村から都市部に出てきた人々の就業と居住問題を解決してやるのだ。

第四に、効率的な供給を拡大することだ。貧困を撲滅し、先端技術を発展させ、農民の収入を安定させるのだ。

第五に、金融リスクの解決だ。政府債務の管理をうまく処理し、不法な投資が蔓延するのを防止するのだ。

その他、積極的に外資を利用し、一帯一路建設の好機を掴むのだ。中国の特色ある社会主義政治経済学の重要な原則を堅持し、社会主義市場経済の改革の方向を堅持するのだ

おそらく参加者たちは、「そんなの分かってるよ」とため息をつきながら、中国中央テレビのカメラを意識しつつ、両手を膝に当てたり、メモを取るフリをしながら聞いていたのではなかろうか。

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