賢者の知恵
2015年12月26日(土) 森田浩之

絶対王者・羽生結弦は「メディア対応」も世界一
〜イチロー、本田圭佑、北島康介とはココが違う!

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羽生結弦が天才的なのは演技だけではない 〔PHOTO〕gettyimages

文/森田浩之(ジャーナリスト)

「ゆづくん」の快進撃が止まらない――。

フィギュアスケート男子の羽生結弦は11月末のNHK杯で、史上初の300点台となる322.40点を記録した。ところが、その2週間後にバルセロナで開かれたグランプリファイナルでは330.43点をたたき出し、再び歴代の世界最高得点を更新して3連覇を果たした。

全日本選手権では4連覇を達成したが、この大会のあとも羽生はさらに高い次元へ向かいそうだ。

だが、羽生のすごさはフィギュアの実力だけではない。彼のメディア対応能力は、今までの日本人アスリートのなかで並みはずれている。

感謝・会釈・発声・目線……すべてが完璧

英語に「メディアジェニック(mediagenic)」という言葉がある。「メディア映えする」といった意味だが、羽生はこの「メディアジェニック」な偏差値があまりに高いのだ。

一例として、初めて300点超えを果たしたNHK杯で、得点が発表された直後のインタビューを再現してみる。

インタビュアーが「それでは、みなさん、お待たせしました。チャンピオンの声です!」と前振りをしている間、なぜか羽生は顔を少ししかめ、頭をぽりぽりかいている。「え、おれ、何を話すの?」と、ちょっと困っているようにも見える。「300点超えちゃって、何を話すの?」と。

しかし会場から大歓声があがると、まるでその声に背中を押されたかのように、羽生の顔に笑みが広がる。歓声が引いたその瞬間、「笑顔のゆづくん」が出来上がっている。そして、一気に語りはじめる。

「ありがとうございます……みなさんは直接、僕を含め、僕らスケーターに手を加えてくださったり、何かをしてくださったわけではない(かもしれない)ですけれども、本当に応援という大きな力をもらいました。本当にこのスコア、そして、この演技は、みなさんのおかげです。本当にありがとうございました」

この間、羽生は首をくるくる回し、観客席のあらゆる方向に顔を向けようとしている。ここにいる人たちみんなに言葉を届けたいと、心底思っているかのようだ。ひと呼吸おいて、羽生はさらに続けた。

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