「マタ旅」は危険!無保険の出産は4000万円程かかる

荻田和秀×坂本美雨 『コウノドリ』特別対談
荻田和秀, 坂本美雨

いつまで働ける? 自分の力を過信しないで

坂本: マタ旅はしなかったんですが、仕事の出張、地方ライブが結構入っていたんです。スケジュールを組んだ時点では、私もどこまで働けるのかわかっていなくて。出産する3日前まで働いていたというようなパワフルなお母さんの友人が多かったので、最初は自分の体力を過信していました。

28週で熊本へ行って、周りもサポートしてくれて元気に終えましたが、その次に33週で北海道のライブがあったんです。私自身には迷いがあったんですが、担当の先生が親身になって止めてくれたので、キャンセルしました。スタッフやお客さんには迷惑をかけてしまうけれど、今はこの命を守ることが一番大切だと思って。

バリバリ仕事をしている友人が多いのですが、妊娠した子に「いつまで働ける?」と聞かれたら、「私は最初は過信しちゃったよ」と伝えるようにしています。

荻田: 妊娠したらじっとしていなくてはいけないというわけではないので、自分が動ける範囲で外へ出て働いてもいいとは思いますよ。じっとしている人と働いて体を動かしている人と、流産率はそこまで変わらないんです。

だから僕は、仕事をぎりぎりまでやりたいという妊婦さんには常にモニターして、「しんどいなー思ったら言うてや。いつでも診断書出すから」と言っています。ただ坂本さんのように産科医の手が届かない遠くへ行くのは避けたほうがいい。何かあったときにどうすることもできないのが産科医としても一番辛いですね。

坂本: 私は出産の1年前に子宮筋腫の手術をしていたので、予定帝王切開だったんです。最悪、子宮破裂もあり得ると。先生はきっと「僕はすすめないけど、自己責任だよ」という言い方も出来たと思うんですが、でも「何かあったときに僕がすぐに行けないから」とちゃんと止めてくれました。だからこそ仕事をキャンセルする決心がついたので、先生には感謝しています。

荻田: 僕は実際に子宮破裂で担当したお母さんを亡くしてしまったことがあります。赤ちゃんも助かりませんでした。帝王切開をした後に経膣分娩を希望する妊婦さんがいるのですが、僕やったら体を張って止めますね。子宮破裂する確率が1割あるんです。逆に言うと9割はうまくいってしまうので、僕が止めても不服だと思った方が小さな診療所に行って経膣分娩に望んでしまうことがあるんです。これも辛いですわ。