賢者の知恵
2015年12月30日(水) 一橋文哉

世田谷一家殺人事件
〜実行犯は今、次なる「超大物」ターゲットを狙っている

独自取材でたどり着いた驚愕の事実

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〔photo〕iStock

文/一橋文哉

世田谷事件、本当の黒幕

李仁恩が密かに来日している――という情報を耳にしたのは、15年9月初めのことだった。

しかも、その半月後には、私の目の前に李がいた。と言っても、そこにあるのは高さ40センチほどの石塊であった。

京都市の中心部から日本海方面に向けて車で2時間ほど行った山裾す佇む廃寺。その片隅にポツンと置かれた楕円形の石塊が、あの「李仁恩の墓」だと言われても、とても信じられない。

* * *

李は、私が世田谷事件の実行犯として捉え、このほど上梓した拙著『世田谷一家殺人事件 15年目の新事実』(KADOKAWA)で追及してきた男である。

世田谷事件は2000年12月31日午前11時前、東京都世田谷区上祖師谷3丁目の会社員、宮澤みきおさん(当時44歳)宅で、みきおさんと妻泰子さん(同41歳)、長女で小学2年のにいなちゃん(同8歳)、長男で保育園児の礼君(同6歳)の4人が惨殺されているのが見つかった凶悪事件である。

韓国マフィア元ボスの情報提供から独自取材した結果、私が突き止めた事件の筋書きは次の通りだ。

都内に住む元宗教団体幹部、金田秀道(仮名)が事業失敗で多額の資金を必要として、宮澤家に隣接する都立祖師谷公園拡張に伴う移転補償金など1億数千万円を狙って犯行を計画した。

そして、言葉の発達が遅かった礼君の発育支援と称して一家に近づき、自分に心酔する李に自分をよく知る家族四人を殺害させたうえ、現金や預金通帳、自分との繋がりが分かってしまう書類や年賀状などを物色させ、奪い取らせたーー。

宮澤家周辺では当時、移転する家屋を安く買い上げ、転売を繰り返した末に東京都に高く売りつけて荒稼ぎしようとする不動産ブローカーや暴力団系地上げ業者がいて、宮澤家を密かに見張ったり、内情を調べた形跡があった。彼らは宗教団体の不動産取引を通じて知り合った金田と結託し、宮澤家に土地売却を持ちかけ、応じないと嫌がらせをしたり圧力を掛けていた。

金田や不動産ブローカーの背後には“隠れオーナー”として投資顧問会社元代表Xがいた。私の追及に金田は「世田谷事件は私がやらせたことじゃない。本当の黒幕はXだ」と自白したのだ。

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