日本ボクシング界にいま、「重大な危機」が迫っている!
~統轄団体・JBCのずさんな運営・資金管理を告発する

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ジムの会長らから上がった不満の声

内山高志、井上尚弥、井岡一翔、田中恒成、高山勝成、田口良一…今年の年末も、日本各地でボクシングの世界タイトルマッチが行われる。年末のボクシング興行はいまや「年の瀬の風物詩」といってもよいほど、定着した感がある。

現在、日本のジムに所属する世界王者の数は10人。日本のボクシング界は何度目かの隆盛期を迎えているかのように見える。

だが、輝かしく見えるのは「リングの中」の話である。その外側に目を向けると、「日本ボクシング界の危機」とでもいうべき事態が進行していることをご存じだろうか。一般財団法人日本ボクシングコミッション(以下・JBC)の財務状況が悪化しており、このままいけば破たんしかねない状況にあるかもしれない、というのだ。

JBCは日本のプロボクシングに関わるすべてのライセンスを決裁し、すべての試合のルールを支配している。日本プロボクシング協会(大橋秀行会長、以下・協会)が、ボクシングジムのオーナーやプロモーターなど興業での利益を求める事業者の団体であるのに対し、JBCは試合そのものを公平に制御する責任と権限を委託され、日本のプロボクシングを統括している非営利団体だ。

日本で行われる試合が、たとえ「WBA(世界ボクシング協会)世界タイトルマッチ」と銘打たれようとも、JBCの承認がなければ、それはプロボクシングの試合と認められることはない。

この機能があるおかげで、プロボクシングは「スポーツ」として広く社会に認められているともいえる。ゆえにJBCの財務状況の悪化は、日本のプロボクシングの存続に直結する一大事だ。

ここに、日本プロボクシング協会傘下の東日本ボクシング協会(会長は同じく大橋秀行氏、以下・東協会)の『議事録・平成27年度(No.6)』と書かれた内部資料がある。同資料に「別紙①」として収録されているのは、協会がJBCに今年8月17日付で送付した『ご対応の要請』という文書。ここには、協会とJBCとの間で、次のようなやり取りがあったことが記録されている。

日本のプロボクシング界の重鎮たちが「火急の事態」に対処するために東京ドームシティ後楽園ホールビルのJBC事務所に集まったのは今年8月10日のこと。「連絡協議会」と銘打たれたこの会合では、JBCの秋山弘志理事長と浦谷信彰事務局長、そして元ミニマム級世界王者の大橋秀行協会長らが対峙していた。

協会に籍を置く各ボクシングジムの会長らの間では、以前から「JBCの財務状況が悪化しているのではないか」という懸念が広がっており、この「連絡会議」の場で、大橋協会長らはその事実関係を質そうとしたのだ。

冒頭からいら立ちを隠せない大橋協会長からは、JBCの財務内容についての質問が繰り返されていた。それに応じる秋山理事長と浦谷事務局長は終始、険しい表情を強いられていた。

―この場を何とか納めたい―。

そんな思いが先走ったのか、秋山理事長は大橋協会長の質問に、このように応じたという。

「取り急ぎ、向こう1年間の資金繰りについては問題ないと思う」

JBCの財務は1年しかもたないのか―。大橋協会長は秋山理事長の発言をこう受け取った。