金融・投資・マーケット
銀行員にダマされないための正しいマネー運用マニュアル

なぜ今、「銀行員」を警戒すべきなのか

先日、筆者の実家で発見された古いポスターを一枚見て頂こう。

父親らしき男性(実際には近所の電通マンで、アカの他人だったが)に肩車された男の子が空を見上げている。コピーは「大きく育て!」と「ボーナスでつくるくらしの土台」の2つだ。

これは、約50年前の北海道拓殖銀行(地元では「たくぎん」と呼ばれていた)の「すずらん定期」という商品名の定期預金のポスターだ。そして、実は、肩車に乗っている男の子は子供の頃の筆者なのだ。

この頃、銀行は定期預金を中心に預金集めに力を入れていた。日銀のホームページの「主要金利」の表で当時の金利を見ると、公定歩合が6.57%、普通預金が2.19%だから、定期預金はこの間くらいの利息が付いていたのだろう。

インフレとの競争がどうかという問題はあっても、「貯金しよう」という意欲がそこそこに湧く金利が付いていた。

北海道拓殖銀行は後に破綻する訳だから(政府の判断によって預金者は損をしなかったが)、完全に安心してお金を預けていて良かったのかという問題はあるが(お金の世界に「絶対」は無い!)、当時の人は、銀行にお金を預けて安心できたし、銀行員には「堅くて真面目だ」という絶大な信頼があった。

だが、今では、そうは行かない。

銀行に預金しても「利息」は殆ど付いてこない。一方、銀行員が熱心に売る投資信託には、たっぷり「リスク」が付いて来る。加えて、それ以上に筆者が問題だと思うのは、銀行が顧客から大きな手数料を取ることだ。

ところが、こうした状況であるにもかかわらず、銀行の多くの顧客、特に、お金を持っている年齢の高い層の顧客は、まだ「銀行員は安心だ」という誤ったイメージを持っている。この現状とイメージのギャップが危険だ。

ポスターに載っていた男の子は、ポスターのコピーが幸せの呪文となったおかげか、ありがたいことに図体だけは「大きく育った」。そして、銀行の顧客に向けて銀行及び銀行員を警戒せよという趣旨の本を書くに至った。書名は『信じていいのか銀行員』(講談社現代新書)で、先週末に発売された。