シリア空爆で大儲けするフランスに「正義」はない
日本人がテロに怯えて暮らす日もすぐそこに
フランスのダッソー社が開発した戦闘機・ラファール。「http://www.francetvinfo.fr」 より

2015年11月13日金曜日にパリで起きた、大規模テロ。

1ヵ月経った今も、この悲惨な出来事についてコメントするのはリスクが高いといわれる。このような事件が起きると、世の中の空気が一色に染まり、その流れに沿わない発言をすれば、尋常ではない攻撃の対象となる可能性があるからだ。

今回のテロが許されない行為であることは論をまたない。しかし、テロに武力で立ち向かうだけでは解決にならないことは周知の事実だ。テロの根本原因には、格差、貧困、差別があり、それはシリアなど中東やアフリカだけの問題ではない。フランスやその周辺国の国内の社会問題でもある。だが、そうした冷静なコメントが許される空間はかなり狭くなってきている。

ここでは、同様に日本メディアが報じない問題を取り上げたい。それは、フランスのシリア空爆の裏側にある事実だ。

このテロ前日の11月12日、フランスの国営テレビ「フランス2」は、フランスの最新鋭戦闘機「ラファール」が、中東諸国などに大量に売れているというレポートを大々的に報じた。

今年に入り、エジプト24機、カタール24機、インド36機、さらに、近くUAE(アラブ首長国連邦)と60機の商談がまとまるという。メーカーのダッソー社とその下請けで3000人の雇用が創出され、工場は5年間フル操業が約束される。

「フランス2」は、ラファール「バカ売れ」の理由として、シリアなどの空爆でその威力を証明したことを挙げた。

これを見たフランス国内のアラブ系の人々はどう思うのか。自らの同胞が、仏戦闘機の空爆の巻き添えで死んで行く。一方、フランスでは、その空爆のおかげで大儲けできると、国営テレビが誇らしげに報道している。誰でも憤りを感じるだろう。

「戦争では誰も得をしない」と言われるが、実際には、陰で大儲けする人々がいる。それは、常に「正義の衣」を身にまとうが、実は「悪魔の如き」軍需産業だ。しかし、喜ぶのは彼らだけではない。一般労働者もその利益を享受し、小躍りしている。

そして、その代償が、テロの恐怖に慄きながら暮らす生活だ。街中には自動小銃を構える兵士が溢れ、国中で盗聴が行われる。罪なき人々が、テロへの協力容疑で連行され拘束される。フランスや米国だけではない。他の欧州諸国や豪州でも同じことが起きかねない。

安倍政権は、有志国連合の空爆やその後方支援への参加は当面しないと言う。だが、それは、来年の参議院選挙までは徹底してタカ派色を消し、ひたすらバラマキ政策で国民を安心させるための作戦に過ぎない。

選挙後には、日本も何らかの形でこの空爆への協力をするに違いない。なにしろ、昨年秋にオバマ大統領がシリア空爆に言及したとき、英国でさえ躊躇していたのに、真っ先に賛意を示したのが安倍総理だった。彼にとっては、米国こそ正義なのだ。

もし、これを許すのなら、日本国民も欧米列強諸国と同様に、テロに怯える生活を覚悟する必要がある。そうなる前に、私たちは、真剣に「世界の中での日本人の生き方」を探さなければならない。

『週刊現代』2015年12月26日号より

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