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あの「未解決事件」の今
世田谷一家、餃子の王将社長、中野美人劇団員、福生顔面皮剥ぎ…

週刊現代 プロフィール

この事件の所轄署である成城署の元署長で、事件の捜査にも携わっていた土田猛氏が言う。

「事件の直後、12月31日の夕方5時頃、東武日光線の東武日光駅(栃木県)で右手に大ケガをした男が駅員に手当てを受けていたことが分かったのです。しかもその後の調査では、この男が病院に行った形跡もない」

犯人は、犯行の最中に現場で右手にケガをした可能性が高いとされ、この男のケガと合致する。また、犯人は遅くとも31日の朝10時頃には、東京・世田谷区の犯行現場を後にした。夕方に日光にいることは十分可能だ。

しかも、その人物のケガはかなりの深手だったというが、彼が乗ったと考えられる電車の中からは血痕が見つかっていない。自身の形跡を残さないことへの異様なまでの執着心がうかがえる。

ほかにも、犯人の輪郭を描くためのヒントは、長い時間を経ながらも、確実に出てきているという。土田氏が続ける。

「根強く囁かれ続けている情報ではありますが、トレーナーなど犯人の遺留品のほとんどが、荻窪(東京・杉並区)周辺で手に入るものばかりだったと分かりました。荻窪が犯人の生活圏内にあった可能性が高い。また、警察は公式に発表していませんが、現場に残されたDNAは父系がアジア系民族で、母系の先祖のどこかに南欧系民族がいたと判明しています」

もはや時効は問題ではない。こうした手がかりをもとに、今も聞き込みやチラシ配りが続けられている。

現在も、宮澤さん宅の前には24時間体制で警官が立っている。家の傷みを防ぐために張られたネット越しに見えるヒビの入った壁からは、15年という時間の長さがうかがわれる。

2. 「餃子の王将」社長射殺
創業家と「暗黒街」の底知れぬ関係

あの日も、寒い朝だった。

「餃子の王将」で知られる「王将フードサービス」(本社・京都市山科区)社長の大東隆行氏(当時72歳)が、同社駐車場で射殺された。'13年12月19日早朝、有名飲食チェーンの現職社長が殺害されるという大事件にもかかわらず、依然、犯人の身元は判明していない。

「王将」は、いわくつきの会社だった。'99年には親密な関係だった福岡のゴルフ場元オーナー・X氏にトラブル処理の「謝礼」名目で1億円を支払い、脱税事件として摘発された過去がある。同時期には、X氏のゴルフ場へ90億円もの貸し付けも行っていた。

そういった過去に加えて犯行の手口から、この事件には「暗黒街の住人」が関与していると見られてきた。京都府警詰めの記者が言う。

「犯行に使用された車は福岡と熊本ナンバーの2台。見張り役、バイクの窃盗役、車の運転手、大東社長を射殺した実行犯の5~6人で、九州に縁のある人物だと警察は見ています」

事態が急展開したのは、今夏のことだった。京都府警が北九州の暴力団幹部を重要参考人として事情聴取したのだ。

九州で暴力団を取材する地元記者はこう言う。

「この暴力団幹部は、福岡県警北九州地区暴力団犯罪捜査課が追っていた人物。警察の行動確認を振りきり、王将事件が起こる1~2日前から行方不明でした。

王将事件の翌日、北九州市で漁業協同組合長の射殺事件が起こり、警察が緊急配備をかけた際、たまたま、この幹部が職務質問で引っかかり、事件翌日、別件で逮捕されました。しかし、組合長射殺への関与は否定し、釈放されています」

その後、警察はこの幹部の不審な動きをキャッチし、王将事件に関与していたのではないかとの疑いを抱くようになる。