中国
中国のテクノロジーを侮るな! 世界のリーダーたちは誰も"チャイナリスク"を口にしない
田村 耕太郎

「中国バブル崩壊」などありえない

日本人は物事を常に「白」か「黒」か、「敵」か「味方」かの二項対立で捉えようとするが、世界はそんなに単純なものではない。

中国は巨大なだけに複雑な存在なのだ。新興国の側面と先進国の側面が共存する。そして先進国の部分は先進国より進歩しはじめ、全体を徐々にレベルアップさせている。アメリカにとっての中国は、「敵」とみなさなければならない対象であると同時に、「味方」にもなっておきたい存在なのだ。

かくいうわれわれ日本人も、かつては「エコノミックアニマル」と揶揄され、海外旅行者のマナーも今からは信じられないくらい悪く、欧米の技術やエンターテインメントをコピーしまくっていた。そして、コピーを改良し、それを進化させ、技術立国となってきたのだ。

中国はいま、かつての日本と同じことを、10倍のスケールでやっている。

「日本との違いは、アメリカの名門大卒のエンジニア系博士号取得者の量だ。アメリカの名門大学で博士号を取り、最高の研究機関で修業した莫大な数の中国人が、続々と本国に戻っている。かつての日本にはなかったスケール感で。そしていま、量が質に転化しつつある」

アメリカでもASEANでも、確かに中国は国家としては脅威であり、中国企業や中国人観光客のマナーは嫌悪の対象になっている。しかし、日本のように「中国が崩壊する」「中国経済が長期デフレに陥る」と本気で信じているリーダーもインテリも、ほとんどいない。

私は、11月のマニラで開催されたAPECの場で、国家首脳やグローバル企業トップら、多くの政治経済のリーダーたちと交流したが、誰一人として「中国バブル崩壊」などとは口にしていなかった。

1年以内に米国を抜く可能性も

私が応援している、スパコンの省電力化・小型化を研究され続きて来た日本人技術者兼経営者・斉藤元章さんが、2年連続で世界で最も省電力性能に優れたスパコンの開発に成功されたとの連絡を受けた時の話を思い出す。

最新のデータによる国別ランキング(2015年11月16日発表「TOP500」)を見ると、各国のスパコン保有台数は次のようになっている。

1位:アメリカ=200台
2位:中国=109台
3位:日本=36台

斉藤さんはこう話していた。

「中国の躍進は凄まじい。絶対性能のTOP500では、前回3位だった中国が日本を抜き去って2位になりました。そればかりか、保有台数でも半年前の37台からいきなり109台にジャンプアップしました。これは、米国の200台に対しても相当な数ですし、1年以内に米国を抜く可能性すらあります」