[アイランドリーグ]
埼玉西武・松本直晃(香川)「開幕1軍目指して」

 12月11日、入団発表会で初めて埼玉西武のユニホームに袖を通しました。ドラフト会議での指名から1カ月半、なかなかNPB入りする実感はわかなかったのですが、“これから始まるんだな”という気持ちが出てきました。今まで高校、大学、社会人と縦じまのユニホームを着ることが多かったので、西武のシンプルなデザインはかっこ良く感じましたね。

 ドラフト会議では指名されるという話は聞いていたものの、こんな立場になったのは生まれて初めて。7、8位の指名が終わった時点では、正直、もうないかなと思っていました。10位でやっと名前が呼ばれた時はホッとしました。今回、指名された88選手(育成ドラフト除く)の中で、僕は88番目とラスト。「シンガリ指名」と新聞の見出しにもなっていましたが、ここから成り上がっていくのも僕らしいかなととらえています。

 アイランドリーグでの1年間は、硬式でのピッチャー経験がなかった僕にとって貴重なものでした。公式戦では41試合に登板(リーグ最多)。オープン戦やNPBとの交流試合、北米遠征を含めると70試合前後の実戦に投げることができました。独立リーグでなければ、これほどの場数を積むことはできなかったでしょう。

 最初は投げることで、いっぱいいっぱいだったところから、北米遠征を経て後期に入ると、いい意味での余裕が出てきました。ランナーを背負ってもマウンドで冷静さを保ち、状況を考えたピッチングができるようになってきたと感じています。また、NPBを見据えたトレーニングや体のケア、調整法を学べた点も大きな財産になりました。

 課題だったフォークボールも、シーズン終盤ではバッターから空振りをとれる段階まで精度を上げられるようになってきています。ドラフト後の中日との交流試合でもフォークで三振をとり、一定の手応えをつかみました。

 春のキャンプが始まったら、コーチのアドバイスを受けながら、このフォークとストレートとのコンビネーションに、より磨きをかけていきたいと考えています。西武で目標とするのは岸孝之さん。ストレートと緩いカーブの組み合わせは素晴らしく、僕も見習いたいです。持ち球には他にスライダー、カーブもありますが、ピッチャー経験が浅いだけに、あれこれ球種を増やすよりも、まずは、それぞれのボールの質を高めることを心掛けていくつもりです。

 今はキャッチボールや遠投、ランニングなどで基礎体力のアップを目指しています。1年間投げてみて、肩、ひじの状態は全く問題ないので、ピッチャーに向いていたのでしょう。1月の合同自主トレ初日から、しっかり投げられるよう準備していきます。

 田邊徳雄監督からは「頑張って。期待しているぞ」と声をかけていただきました。25歳と西武の新入団選手の中では一番年上のため、最初は他の新人から気をつかわれている部分もありましたが、すぐに気軽に話せるようになり、1月からの自主トレ、キャンプが楽しみです。

 監督の方針でキャンプは全員2軍スタートと聞いています。早くアピールしたい思いもありますが、まずはじっくりと基礎を固めることが大事ととらえています。その上でキャンプ終盤やオープン戦から1軍に昇格し、そのまま開幕を迎えることが第一の目標です。まだ硬式でのピッチャーは1年だけ。香川では中継ぎ、抑えを任せてもらいましたが、どのポジションに適性があるのか、自分でも未知数です。その分、可能性は大きいと感じています。チームから「行け」と言われたところで、どんどんチャレンジしていきたいです。

 去年までの僕を知っている人は、「まさかNPBに行けるとは」と誰もが驚いているはずです。僕自身もNPBは憧れの対象でした。そんな舞台で、どこまで通用するのか。高いレベルで野球を続けられることに喜びを感じながら、思い切って勝負します。今回、香川からは大木貴将(ロッテ育成)、赤松幸輔(オリックス育成)と同じパ・リーグに選手が入団しました。お互いに切磋琢磨し、近い将来、彼らと1軍で対戦するのがひとつの夢です。大学(環太平洋大)、そして独立リーグの先輩である亀澤恭平さん、同期の又吉克樹(ともに中日)とも、ぜひ交流戦で対決してみたいですね。

 僕は大学時代まで野手、社会人では働きながら軟式野球を続けて独立リーグに進むなど、普通のプロ野球選手にはない経歴を持っています。それが回り道だったとは感じていません。その分、いろいろな経験をし、人と出会い、人間として成長することができたからです。今回の西武入りにあたっても、多方面からお祝いや励ましの言葉をもらいました。大勢の方に応援されていることを強みに変え、1軍で活躍することが恩返しになると思っています。これからも、もっと多くの方に声援を送ってもらえる選手になれるよう頑張ります。

<松本直晃(まつもと・なおあき)プロフィール>

11990年11月14日、兵庫県生まれ。東海大学付属翔洋高、環太平洋大時代は内野手。卒業後、鳥取県の医療法人養和会が発足させた軟式野球チームに。介護員として働きながらチーム事情で投手も始める。高いレベルでのプレーを希望し、アイランドリーグに挑戦。トライアウトに合格し、香川に入団する。1年目の今季はリーグ最多の41試合に登板。最速151キロのストレートを武器に4勝1敗6セーブ、防御率1.00(リーグ2位)の成績を残す。リーグ選抜による北米遠征にも参加。5月度、8月度の月間MVPも受賞。秋のNPBドラフトで埼玉西武から10位指名を受ける。右投右打。178センチ、78キロ。背番号66。

世界を見据えた五輪予選
~松原良香Vol.6~

スポーツコミュニケーションズ,田崎健太