賢者の知恵
2015年12月19日(土) 週刊現代

マエケンに問われる「覚悟」〜男たちはなぜメジャーを目指すのか

週刊現代
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〔PHOTO〕gettyimages

世界の強敵と戦って、自分の実力を証明したい。プロのアスリートなら誰もがそう思うだろう。だがそこには「リスク」がつきまとう。メジャーに挑戦した男たちは、どんな決意をもって渡海するのか。

甘くない。だからこそ

「無謀」だという声もある。「もったいない」という声もある。

先頃、ゴールデン・グラブ賞の授賞式に現れた、広島カープの前田健太(27歳)の表情は、妙にすっきりしているように見えた。外野からの言葉なぞどこ吹く風。前田の心はすでに決まっている。

「誰が何と言おうと、俺はアメリカに行く。行くしかないんだ」

成功するかは誰にも分からない。確かにこのまま日本に留まれば、高額の年俸は保証されている。だがそれ以上に「もっと強い敵と戦いたい」という本能を抑えることはできなかった。

'04年オフにメジャー挑戦を理由にFA宣言し、阪神タイガースから、オークランド・アスレチックスに入団した藪恵壹は前田の気持ちがよく分かると言う。

「プロのアスリートならよりレベルの高い世界で自分を試してみたいと思うのが当然のこと。世界一のバッターと同じ舞台で戦うチャンスが目の前にあるのに、そのチャンスを逃すという選択は、僕にはなかった。僕の頭の中にあったのは、ただバリー・ボンズと対戦したいということだけ。残念ながら対戦は叶わなかったけどね。

ただボンズと並ぶ強打者で、ボストン・レッドソックスのデビッド・オルティーズと対戦した時の興奮は今でも覚えている。得意のシュートを簡単に弾き返され、本来なら悔しがるところだけどちょっと嬉しかった。『これがメジャーか』とドキドキしたのを覚えている」

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