スウェーデンで社会現象になった「やさしさの講義」を公開!
~二度の世界大戦を終わらせたのは、「やさしさ」だった

「やさしさ」という技術』著者のステファン・アインホルン氏

ノーベル賞の選考委員会を擁する世界トップ医大・カロリンスカ医科大学で「学生が選ぶ最優秀教授」にかがやいた名医・ステファン・アインホルンが書いた『「やさしさ」という技術』が、人口900万人のスウェーデンで30万部を超える売上を記録した。

やさしさは、資質ではなく、技術である――。そう説いたこの本が、なぜ一大センセーションを巻き起こすことができたのか? 本書の一部を特別公開する。

<第一回はこちら>
やさしさは”性格”ではなく”技術”だ! あなたの人生をときめかせる魔法のテクニック

「衝突は成長のチャンス」は嘘である

私たちは誰しも、誰かや何かと衝突することがある――職場で、学校で、家族内で、友人とのあいだで、ラッシュアワーの人混みのなかで。

衝突は建設的だといわれることもある。ケンカになったり、激しい敵対心をもつことになったりしても、それによって成長するチャンスが生まれるからだというのだ。

だが、私はそうは思わない。私の考えでは、衝突は通常、破壊的なものだ。視点を変えると、すべての議論は建設的になりうる。異なる考えや歩み寄りは、関係を深めることが多い。しかし、衝突によって怒りをぶつけ合うと、「建設」する以上のものをぶち壊すのだ。

したがって、衝突は敗者しか生まない。私たちは衝突から学べる唯一のこと、それは「今後の衝突を避けるすべ」だけだ。

では、遅かれ早かれ生じそうな、衝突の芽をどう摘みとればいいのだろう?

そのヒントを、私は下の息子が3歳のときに教えられた。

下の息子と上の息子が何時間もずっと騒いでいたので、私は妻と相談し、子供をきちんとしつけようということになった。そして、子供は夜にテレビを見ずに、早く寝なくてはいけないというルールをつくった。

子供にそのことを告げると、ふたりは大声をあげて抵抗したが、私たちは聞き入れなかった。成長のために必要だからと言い聞かせると、ふたりはテレビを見ないまま寝室に行った。

しばらくして、兄が居間に戻ってきてこう言った。「ママとパパのバカ!」

「はいはい」と、私たちは答えた。「早くベッドに行きなさい!」

その後、すぐに弟が居間のドアを開けて入ってきたので、兄と同じようなことをいうのだろうなと身構えた。

すると弟はこう言った。「ママもパパも大好き」

私たちの決意はもろくも崩れ、しつけの計画は失敗に終わった。結局その後、弟だけでなく、兄も夜にテレビを見る許しを得たのである。

3歳の息子は、多くの大人が理解していない、どんなことを理解していたのだろう?