経済・財政
軽減税率をめぐる攻防ではっきりした財務省主税局の「没落」
攻防の第1幕は安倍官邸の「谷垣」不信から始まった〔photo〕gettyimages

軽減税率をめぐる政府・与党内の攻防はやはり、首相・安倍晋三、官房長官・菅義偉による官邸の勝利に終わった。

浮き彫りになったのは、これまで税の決定権限を握ってきた自民党税制調査会と財務省主税局の没落である。財務事務次官の有力候補だった主税局長・佐藤慎一は官邸の意向に逆らい、自ら次官の目をつぶした。

官邸の「谷垣」不信

軽減税率をめぐる攻防で大きなヤマが3つあった。第1幕は11月24日午前9時から30分間、自民党本部で行われた安倍と、幹事長・谷垣禎一、税調会長・宮沢洋一との会談だ。

安倍は谷垣と2人で会うつもりでいた。ところが、宮沢が同席し、さらに財務省主税局の幹部が10人近くぞろぞろと入ってきた。安倍はこの異様さに強い警戒感を抱き、慎重に言葉を選んで発言した。

谷垣、宮沢の説明を聞いた後、安倍が話したのは、①国民の理解が得られるような内容にする、②事業者の混乱を招かないように配慮する、③安定財源を確保する、の3点のみだった。

ところが、谷垣は会談後の記者会見で、安倍の発言として「いわゆる税と社会保障の枠内で議論してほしい」「ない袖は振れない」と語ったーーと紹介した。また、記者団から「4000億円という指示があったのか」と質問され、「首相もそうお考えだと思う」と答えた。

これに対し、菅は同日午前の記者会見で「社会保障と税一体改革の枠内ということは聞いていない。具体的な指示はしていないと思う」と、谷垣の会見内容を否定した。菅は翌25日の記者会見で「(首相は)具体的な数字は言っていない。首相に確認した」と重ねて否定した。

このころ、官邸の「谷垣不信」が一気に強まった。ある官邸関係者はこう言った。

「谷垣さんは軽減税率の問題を、財務大臣経験者としてしか考えていないのか。公明党、創価学会を含む政権全体の問題として考えてほしい」