SDR採用で進む人民元安。中国政府のリスキーな「実験経済」は成功するのか?
【PHOTO】gettyimages

さらなる切り下げもありうる 

12月11日、中国人民銀行(中央銀行)は、人民元(CNY)とドルとの交換に使う基準レートを1ドル=6.4358元に設定した。これは8月11日の人民元切り下げ後、最も低い基準値だ。海外のオフショア市場でも2011年8月上旬以来の人民元安が進んでいる。

今回の人民元安は、通貨の国際化を進めるための第一歩と考えられる。IMFは、人民元をSDR(特別引き出し権)の構成通貨に採用し更なる改革を求めた。中国政府は、そうした指摘を簡単には無視できない。いまのところ、市場が人民元をどう評価するのかを探ろうとしているのだろう。

ここで重要になるのが、世界経済にショックを与えることなく、中国政府が通貨制度の改革を進められるか否かだ。これまでの経緯を振り返ると、改革に伴うショックが起きる可能性は排除しきれない。

今年8月11日、中国政府は、突然、人民元を切り下げた。その行動は市場を混乱させた。一方、11月30日、IMFは人民元をSDR構成通貨として認め、引き続き通貨制度の改革を求めている。経済の実力に合った為替レートの決定のために、自由な取引制度が求められている。おそらく、さらなる人民元切り下げの可能性もある。

こうした動きを背景に市場が神経質になるなか、中国の政府・中央銀行は市場が人民元をどう評価するのかを探ろうとしている。そのために基準値を切り下げ、市場の反応を見定めようとしているのだろう。それは「リスクのある実験」というべき取り組みだ。

基準値の切り下げを受けてオフショア人民元(CNH)の下方リスクは高まりやすいだろう。それが中国への懸念を追加的に掻き立て、新興国通貨の下落など市場の混乱、リスクオフにつながるシナリオは十分に考慮した方がよさそうだ。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら