ブルーバックス
定番の電子工作が誰にでも楽しめる
金丸隆志=著『実例で学ぶRaspberry Pi 電子工作』

作りながら応用力を身につける

電子工作と親和性の高い超小型コンピュータ「Raspberry Pi(ラズパイ)」。本書では、定番の作品づくりを通して電子工作への理解を深めていきながら、ラズパイが持つさまざまな特徴を学べます。演習用のプログラムはダウンロードでき、工程ごとに動作確認する方式で丁寧に解説。経験の浅い人が上達するのに最適の一冊です。

はじめに

Raspberry Piの人気が続く理由

 2012年のRaspberry Piの登場からすでに3年以上が経過していますが、その人気は衰えるどころかますます高まる一方です。Raspberry Piのように1枚の基板で動作するコンピュータはこれまで多く登場してきましたが、これほど長い間人気を保ち続けたものは筆者の記憶にはありません。その人気の理由は2つあると筆者は考えています。

 1つ目の理由はRaspberry Piの位置づけが「教育用のコンピュータ」となっていることです。もともとRaspberry Piは情報工学を学ぶ学生がプログラミングを学習する際に適した環境としてEben Upton氏によって開発されました。日本でも、小学生がプログラミングを学ぶための教材として使われているほどです。「教育用」として用いるためには、初心者にも扱いやすいものでなければなりません。実際、Raspberry Piはインストールやインストール後の設定が簡単になっています。

 また、教育用のコンピュータは長期間使えるものでなければならないため、Raspberry Piでは互換性が重視されています。Raspberry Piはこれまで主にModel B、Model B+、Raspberry Pi 2 Model Bと発売されてきましたが、これらのすべてのバージョンで共通のOSが動作します。それにならい、本書もこれらすべてのRaspberry Piで動作する内容としました。ただし、6章と7章のみは旧タイプのModel BではModel B+以降と異なる方法で動作させますので、各章の解説をご覧ください。

 さらに、Eben Upton氏が創設したRaspberry Pi財団がRaspberry Piに関する面白い周辺機器を定期的に発表していることも、購入する際の安心材料となるのではないでしょうか。本書の執筆時にも、Raspberry Piを収めるケース(2015年6月)やタッチパネル(2015年9月)を公式に発表して話題になりました。すでにあったサードパーティ製の周辺機器に公式のものが追加され、ユーザーにとっての選択肢が増えたわけです。

 こうしてみると、Raspberry Piは一過性のブームで終わらず、コンピュータについて学ぶための選択肢の一つとして定着していくのではないかと期待されます。

Raspberry Piは電子工作との親和性が高い

 Raspberry Piの人気が続く理由の2つ目として、電子工作との親和性の高さが挙げられます。通常のPCと異なり、Raspberry Piには電子工作のパーツであるLEDやモーターなどを直接つないで制御することができます。この性質が、Maker(メイカー)ムーブメントという個人によるものづくりの流行と結びつき、Raspberry Piの人気に火がついたという面もあります。

 メイカーが各自の作品を持ち寄って展示する「Maker Faire(メイカー・フェア)」などのイベントでは、Raspberry Piを用いた作品をたくさん見ることができます。また、ネット上でもブログや動画サイトなどでRaspberry Piを用いたさまざまな作品が掲載されています。そうした作品を見ていると、Raspberry Piを用いたものづくりの楽しさが感じられるでしょう。

実例を通して電子工作を楽しむ

 本書で取り扱うのは、Raspberry Piの電子工作用のツールとしての側面です。題材としては、「天気予報機能付き温度計」、「家電用のリモコン」、「操作可能なカメラ台」などのように、Raspberry Piでは定番と言える電子工作を取り扱います。これらの「実例」を通して、Raspberry Piを用いたものづくりの楽しさを体験していただきたいと思います。

 取り扱う実例が「定番」の内容だと述べましたが、定番であるとは、必ずしもその実例が簡単であることを意味しません。特に、電子工作に慣れていないうちは、思わぬ落とし穴がたくさんあるものです。本書では、どのような落とし穴がありうるかを調べ、その解決法を可能な限り記述する方針で執筆しています。本書が皆さんにとっての「転ばぬ先の杖」となり、定番の電子工作が誰にでも楽しめるものになれば筆者としては喜びです。

 なお、Raspberry Pi上で動かすOSやソフトウェアは定期的に更新されているため、本書の通りに操作しても結果が異なることが将来的に起こるかもしれません。そのような場合、本書のサポートページで最新の情報をご覧ください。また、サポートページからは本書のサンプルファイルや、回路の配線図をダウンロードできますので、是非ご活用ください。

 最後になりましたが、上記の「落とし穴」を見つけるにあたりご尽力いただいたブルーバックス編集部の西田岳郎様、そして執筆中に筆者を支えてくれた家族にお礼申し上げます。

著者 金丸隆志(かなまる・たかし) 
1973年北海道生まれ。博士(工学)。工学院大学先進工学部機械理工学科准教授。専門は非線形力学および計算論的神経科学。近年はスマートデバイスを用いた情報処理に興味がある。2001年、東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻修了。2001~2005年、東京農工大学工学部電気電子工学科助手を経て、現職に至る。主な著書は『Excel/OpenOfficeで学ぶフーリエ変換入門』(ソフトバンククリエイティブ)、『理系のためのExcelグラフ入門』、『Raspberry Piで学ぶ電子工作』(ともにブルーバックス)など。
『実例で学ぶRaspberry Pi 電子工作』
作りながら応用力を身につける

金丸隆志=著

発行年月日: 2015/12/20
ページ数: 352
シリーズ通巻番号: B1950

定価:本体  1160円(税別)
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(前書きおよび著者情報は初版刊行時点のものです)

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