雑誌
研究 日本の「再生可能エネルギー」最前線
これからのエネルギーを考えよう!

原発の40倍に匹敵すると言われる「電力資源」
がこの国にはあるという。日本の未来を探った

「福島第一原発は廃炉が決定的となり、第二原発の再稼働も難しい。広野(福島県)、常陸那珂(茨城県)の二つの大型火力発電所も復旧の見通しが立たず、約1400万kWが発電できなくなった。東京電力管轄内での夏の消費電力は6000万kW前後にのぼり、約500万kWの供給不足が予測される。ただ、停止している3基の柏崎刈羽原発の原子炉も復旧作業に入っており、供給量が上積みされる可能性は残っている」(全国紙社会部記者)

 とはいえ、国民に拭いがたい原発不信を与えた福島第一原発の事故により、今後、〝反原発、脱原発〟の声が加速するのは必至だ。菅直人首相(64)も脱原発の意向を示すなど、「日本発の代替エネルギー」を模索する時期を迎えている。石油、天然ガスなどの化石燃料に乏しい我が国は、原発に代わる新エネルギー源を一体、どこに求めたらいいのか。

「今回、福島原発がストップしただけで、首都圏でも停電などのパニックになった。今後は〝リスクの分散〟のためにも地域ごとの発電をしていくべきです」

 こう語るのは、5年前の衆議院予算委員会で、福島第一原発で起きた事故を予測しその危険を指摘していた共産党・吉井英勝衆院議員(68)である。

「新しいエネルギー源なら幾つもあります。資源エネルギー庁の資料によれば、日本の太陽光と風力、バイオマスエネルギーを合計した物理的賦存量(理論的に導き出された資源の量)は12兆kW時(注1)近くもある。これは、今ある原発の総発電電力量の40倍に当たるんです」

 もちろん、一朝一夕にそれらの電力資源を得ることはできない。だが、それほどの巨大資源がこの国に眠っているのなら、中長期的に見て、実用化は可能なのだろうか。その将来性を探ってみよう。

《太陽光エネルギー》

 気候変動諮問会議が'04年にまとめた『2100年の世界エネルギービジョン』によれば、太陽エネルギーは世界エネルギーの7割を賄(まかな)うと期待されている。特徴は各地の埋め立て地や民家一軒ごとの屋根に設置する〝分散型〟という点だ。

「反対の〝集中型〟が一基で100万kW以上を発電する原発ですが、受け入れる地域が限定される。太陽光はその点は問題がなく、一軒平均で約4kWの電力を生み、各家庭のエネルギーの8割を賄えます。将来的には100%を賄い、オール電化にも対応できるようになるでしょう」(東京工業大学統合研究院・黒川浩助特任教授)

 ただし、弱点もある。豊田工業大学・超高効率光起電力変換共同研究推進センター長の山口真史教授が解説する。

「現在の実質変換効率(太陽光を電力に転換できる割合)は13%です。これを家庭の電力を賄うのに十分な36%にするのが目標です。コストは現在、1kWの電力を1時間発電する場合、30円ほどで、一般的な火力発電の約4倍かかっている。今後3~5年で半額にまで下げていきたい」

注1=この場合の「kW時」とは、発電所の「年間累計の発電力量」を指す単位

 前出の吉井氏も太陽光発電の将来に期待を寄せる。

「私たちが毎月電気代と一緒に払っている電源開発促進税(注2)は、年間3500億円。原発偏重のこのカネをすべて太陽光へ回せば、発電機を設置する費用の10%を補助金として年間140万戸に出せる。10年間続ければ、設置数は1400万戸に増え、約500億kW時の発電が可能になる。これは柏崎刈羽原発7基の総発電量に匹敵する規模です。補助金で足りない分は自己負担ですが、余った電力を電力会社が買い取る『固定価格買い取り制度』で、初期投資は約10年間で回収できます」

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