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テロより恐い「チャイナリスク」
〜2016年、中国市場「突然死」の兆候は出揃った

日本企業がいま知っておくべき惨状
〔PHOTO〕gettyimages

習近平国家主席はあの手この手で景気テコ入れに躍起だが、時間稼ぎにしかならない。この巨大な船は沈む。日本を道連れにしてーー。

コマツを襲う「需要半減」という悪夢

中国関連の代表銘柄とされる世界第2位の建機メーカー・コマツがいま、その中国事業で頭を抱えている。

中国経済が凄まじい勢いで失速する中で、同社の稼ぎ頭だった中国ビジネスが破滅的な打撃を受け、尋常ではない落ち込みから抜け出せなくなっている。

〈2015年第2四半期の中国の需要は、前年同期比▲50%減少しました〉

コマツが10月末に投資家向けに作成した資料には、主力商品である建設機械の需要が「半減」したという衝撃の実情が記されている。

コマツの各種投資家向け資料によれば、実は年初の1-3月期からすでに中国での需要は〈▲58%〉と激減していたという。そのため、コマツは4月時点から2015年度の需要減を見込んで、今年度は〈▲20~25%〉との予測を立てていた。

しかし、そんなコマツの想定を「生ぬるい」とあざ笑うかのように、中国経済は猛烈な勢いで急落下。〈政府による景気刺激策の効果は見えず〉、中国経済がフリーフォール状態で落ちていく中、『需要半減』から逃れられない隘路にはまっている。

コマツ幹部は言う。

「建機部門はほんの4年前には中国で年間3,000億円以上を売り上げていた。それが今年は、半期でわずか約350億円です。市場回復の兆しは見えない。新しい建機を売りまくるビジネスモデルが通用しないので、メンテナンス事業などで稼ぎを取りこぼさないように注力しているのが現状なのです」

コマツの建機は中国ビジネスの成功の代名詞だったが……〔PHOTO〕gettyimages

開発ラッシュに沸き、都市のあちらこちらで建機が砂埃を巻き上げていた光景は、ほんの少し前まで各地で見られた。が、経済が失速を始めると、開発案件は軒並みストップ。中国ビジネスで「わが世の春」を謳歌した大手企業を一転、奈落の底へ突き落としている。

コマツに次ぐ国内2位の建機メーカーの日立建機も惨状は同じ。同社の主力商品である油圧ショベルの中国における需要データを示す資料によれば、直近の10月は前年同月比で▲43%と目も当てられない。さらに見ると、9月は▲49%、8月は▲51%、7月は▲52%、6月は▲54%と、コマツ同様に「需要半減ショック」に襲われていることがわかる。

中国で油圧ショベルの評価が高いコベルコ建機の社員も言う。

「中国ビジネスが難しいのは、上下の反動が大きすぎて、常識では考えられないような動きをすることです。毎年、春節(2月)明けの3~4月が建機の販売ピークで、普段の月の4倍ほど売れます。それが今年は、控えめに見積もった販売目標にも届かなかった」

中国経済は2ケタの驚異的な成長を続ける黄金期こそ終了したが、今後は7%前後の成長率は維持できる「新常態(ニューノーマル)」に入っていくから安心ーー。中国政府はそう喧伝しているが、足元で起きていることは新常態というより異常状態にほかならない。

アクセル全開で走っていたところに急ブレーキをかけたかのような景気の失速に、中国ビジネスを手掛ける企業各社は大パニック。どこまで経済が落ちていくのか、その一歩先も見通せない恐慌状態に脅え出した。

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