ニッポンのニュースをつまらなくした「戦犯」は誰だ?
【特別対談】長谷川幸洋×末延吉正
『ニュース女子』収録風景(撮影・小川光)

「特ダネの外注化」がはじまった

「本当に面白いニュース番組」をコンセプトに掲げる情報番組『女は悩まない  女の世直しニュース女子』(TOKYO MX)が注目を集めている。著名な論客が人気女性タレントらに社会問題を解説するという構成だが、放送時間帯が深夜(2時40分~)ということもあって、言いたい放題、テレビ番組の限界に挑戦する姿勢がウケているのだ。ニッポンのニュースをつまらなくしたのは誰なのか。番組司会を務める長谷川幸洋氏と、ジャーナリストで同番組のコメンテーター・末延吉正氏の特別対談をお届けする!

末延:最近、「新聞やニュース番組がつまらなくなった」という声をよく聞くけれど、当然といえば当然のことなんですよ。どの番組も新聞も、建て前でしかモノを言わないんだから。面白くなりようがない。

長谷川:まったくその通り。建て前ばかりになるのは、記者や番組制作者たちが過剰な「自主規制」をしているからです。深く切り込むべきテーマでも、浅い取材と解説だけで、さらりと流してしまう。

なぜ切り込まないかといえば、そのニュースがきっかけとなって大きな問題が起きたり、激しいクレームが来たりした時に、誰も責任を取りたくないから。この一言に尽きます。

新聞社でも、社内を見渡せば無難なことをやってきた人たちばかりが出世している。一方、多少の問題を起こしてもいいから面白いニュースをつくろうという人間は、「厄介ごとを避けたい」と考える上層部が閑職に追い込んでしまう。

つまり、出世をするには、問題を起こさないほうがいい――そう考える人間が増えた結果、新聞もテレビも毎日毎日「横並び」のニュースばかりになってしまったのです。

末延:いま、特に新聞メディアで進んでいるのが「特ダネ記者の外部化」です。長谷川さんの言うように、プロパーの社員(記者)は出世のこと を考えて、踏み込んだ取材をやらなくなる。でも、それだとスクープ記事は生まれないから新聞の鮮度が落ちる。どうするかといえば、優秀な記者を外から引っ こ抜いてくるんです。

たとえばA新聞は、積極的に他の新聞社から優秀な記者を引き抜いている。そして、特ダネや危険な取材は彼らに任せて、プロパー社員は安全な仕事に終始して出世の道を歩くことに専念する、と。まあよくできたシステムですよ。

でも、「特ダネ記者」が書いた記事は確かに面白いんだけれど、本数には限りがある。だから、やっぱり全体としては面白くない紙面になってしまう。