環境・エネルギー
「再エネ」は本当に脱原発の救世主になれるのか? ドイツの電力大手はどこも火の車だが…
メルケル首相は2020年までにEV100万台の普及を目指しているが… 〔PHOTO〕gettyimages

RWEは分社化、E.ONは記録的な大赤字

2022年の脱原発に向かって、「エネルギー転換」の道を邁進中のドイツで、12月1日、2番目に大きい電力大手RWE社が、再エネと送電・売電部門を子会社として分割するというニュースが駆け巡った。

実はちょうど1年ほど前に、ドイツ最大の電力会社E.ON社がやはり2社に分割された。切り離された石炭・褐炭とガス火力部門が、今年1月よりUniperという新会社にまとめられている。

ドイツには大手電力会社は4社あるが、経営はどこも火の車だ。ちなみに今年、E.ONは57億ユーロという記録的な赤字になるらしい。RWEの発電事業での売り上げは、2009年からの5年間で3分の2に落ち込んだ。株価も下がる一方だ。

なぜ、そんなことになっているかというと、主な理由は電気の市場価格の下落だ。これには、急増している「再エネ」が深く関係している。

再エネ電気は固定価格で買い取られ、優先的に市場に流される決まりなので、日が出て、風があると、大量の電気が卸売市場に流れ込む。すると、需要と供給のバランスが崩れ、電気の値が下がる。電気がだぶつき、しかも底値となると、電力会社は発電しても採算が取れない。あるいは、発電ができない。だから経営が苦しくなるのである。

自然保護団体は、火力や原発を持つ電力会社を目の敵にしているため、この現象を再エネの勝利と見て、「それみたことか」とばかりに沸き立っているが、そんな簡単な話ではない。

再エネが火力や原発を駆逐しているのは、再エネに競争力があるからではなく、固定価格で買い取ってもらっているからに過ぎない。再エネの生産者は、自分たちの電気があとでゴミのような値段で取引されることになっても、どうってことはない。

しかし、その買取り費用を負担しているのは、一般の消費者だ。不必要な電気が入り込んで卸売価格が下がれば下がるほど、再エネの買取り価格との差額は広がり、その費用が一般の電気料金に乗せられるので、電気代が上がる。

3人家族の電気代は、2000年から去年までの14年間で、なんと2倍になってしまった。ドイツの再エネ生産者が繁盛しているのは、国民が身銭を切っているからだということを忘れてはいけない(日本も同じ)。