iPad番組を巡るCATVの熱い戦い
TWC対バイアコム裁判を追う

ホームページ「I Want My TWCableTV App」で、タイム・ワーナー・ケーブルはiPad配信の重要性を訴えている(同社ホームページより)

 米CATV業界第2位のタイム・ワーナー・ケーブルは、2011年4月7日、ニューヨーク州南部連邦地裁に、大手メディア・コングロマリットのバイアコム(Viacom)社を訴えた。iPadを使ってCATV番組を見ることは「既存番組配信契約に違反しない」とするタイム・ワーナー・ケーブルに対し、バイアコムは「それは別契約だ」と真っ向から対立している。ブロードバンド放送が拡大する中、米CATV業界は積極的に同市場への参入をはかっている。その前に立ちはだかっているのが、米国の映画スタジオや大手放送局だ。

iPadで番組配信に踏み切ったタイム・ワーナー・ケーブル

 対立のきっかけとなったiPad向け番組配信の経緯について、まず解説してみよう。

 2011年3月15日、タイム・ワーナー・ケーブル(Time Warner Cable)はiPad用アプリ"TWCableTV app"を発表した。

 従来、iPadで番組案内を閲覧したり、DVRの録画予約操作を行えるアプリは、あった。たとえば、昨年CATV最大手のコムキャスト(Comcast)の出したiPadアプリは番組案内を見ながら、STBのチャンネル切り替えや録画予約ができる。また、コムキャストがブラウザー向けに提供しているオンディマンド番組も視聴できる。

 一方、今回発表されたTWCableTVは、チャンネル数(30Ch)は少ないながらもCATVで流れている番組(生放送)をそのまま視聴できる。連続番組や映画などは、オンディマンド番組でかまわないが、スポーツ中継やコンサートなどは生放送でなければ価値が半減ずる。「同社が提供しているブロードバンド(RoadrunnerおよびEarthlink Cable Internet)を利用する」「視聴は家庭内だけ」という制限があるにせよ、タイム・ワーナー・ケーブルのiPadアプリが生放送を実現したことは大きな注目をあびた。

 これに対しフォックス(Fox)、ディスカバリー(Discovery)、バイアコム(Viacom)は、配信契約違反としてタイム・ワーナー・ケーブルにiPad配信停止を求めた。フォックスは米4大TVネットワークのひとつ、ディスカバリーはCATV向け番組供給会社の最大手として知られている。

 また、バイアコムは米国を代表するメディア・コングロマリットで、ユーチューブ(YouTube)と著作権侵害で長年戦っている。同社は米コンテンツ業界でも、ネット・メディアに対してもっとも保守的な態度をとってきた。

 クレームを受けたタイム・ワーナー・ケーブルは、やむなくこれら3社の番組11チャンネルを配信停止する一方、すぐさま17チャンネルを追加して対抗した。(テーブル参照)

 また、同社は「I Want My TWCableTV App」と題するホームページを立ち上げ、クレームをつけた番組提供会社に抗議するとともに、2011年4月7日にはiPadへの番組配信の合法性を確認するため、もっとも強固な姿勢を示すバイアコムを相手取って裁判を起こした。

 これに対しバイアコムもすぐさま反訴し、全面対決の姿勢を示している。なお、タイム・ワーナー・ケーブル社は番組の追加も続けており、現在iPadで視聴できる番組は約70チャンネルに増えている。

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