不条理!「税制改革」の名の下に、国が地方のカネを大量に吸い上げようとしている
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国が地方自治を蹂躙する!?

本来は地方税である「法人住民税」の一部を国が吸い上げて、地方交付税交付金の原資とする制度が大幅に拡充される見通しだ。

自民党と公明党が12月10日にも与党としてまとめる「2016年度税制改正大綱」に盛り込まれる予定。東京都や愛知県など大都市部の自治体から吸い上げた税を、財政力の弱い自治体に再配分するというのが建前だ。従来は総額6000億円だった規模を、2017年度から一気に1兆4000億円にまで引き上げる方針だという。

都市と地方の格差を是正する――。そう聞くと、理にかなった策に思える。新聞も「東京など都市と地方の税収格差を是正し、地方創生につなげるのが狙い」と書いていた。総務省の官僚の説明をそのまま垂れ流しているのだろう。

だが、法人住民税はもともと地方の財源である。「お前の自治体は豊かだから」と言って、国がいきなり地方の懐に手を突っ込むのは、本来禁じ手であるはずだ。税収をかすめ取られる自治体からすれば、地方自治を蹂躙する行為に映る。

税制改正に向けた動きが本格化し始めた11月12日、東京都の舛添要一知事は、愛知県の大村秀章知事、名古屋市の河村たかし市長らとともに総務省を訪れ、高市早苗総務相に一通の提言書(http://www.zaimu.metro.tokyo.jp/syukei1/zaisei/271109teigenoyobiyousei.pdf)を手渡した。提言書には、神奈川県の黒岩裕治知事、大阪府の松井一郎知事も名を連ねており、両自治体からは副知事が代理で出席した。

「不合理な偏在是正措置の撤廃」と書かれた提言には次の3つの項目が記されていた。

・法人事業税の暫定措置は、消費税率10%への引上げを待つことなく、速やかに撤廃し、地方税として復元すること
・ 地方法人税は速やかに撤廃し、法人住民税に復元すること
・ 上記措置の拡大及び上記に類する地方自治体間での財源調整のための措置の新設は行わないこと

法人事業税の暫定措置とは2008年に国が設けたもので、法人事業税の一部を「地方法人特別税」という名の国税にして国が徴収、財政力の弱い自治体に再配分する措置だ。消費税率が10%に引き上げる段階で撤廃されることになっており、税制改正大綱でも2017年から廃止とされている。それを早期に撤廃せよ、というのだ。

次の地方法人税は、地方税である法人住民税の一部を国税化したもので、2014年10月に創設された。今回の税制改正大綱で拡充が計画されているものだ。三番目の項目は、要は「地方間の財源調整」を名目とした国の関与を増やすな、と言っているのである。

提言の前文は、「真の地方自治は、地方自治体が自らの権限とそれに見合う財源により、主体的に行財政運営を行うことで初めて実現できる」という書き出しから始まっている。つまり、主体的な財政運営をしなければ、地方自治とは言えない、と言っているのだ。

当たり前の事のように聞こえるが、実際には、地方自治体の財政運営は「国による統制下」にある。自治体の自主性は乏しく、地方が財政的に自立しようという気概もない。その意味では「国頼み」と言うこともできる。

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