頭に当たると即死?「タマゴ」脅威の殺傷力 〜物理学的に徹底検証してみた!

2015年12月13日(日) 週刊現代

週刊現代賢者の知恵

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「今回は壊れやすいタマゴをぶつけて車のフロントガラスを割ったということですが、被害が大きくなった理由は『相対速度』です。タマゴのほうは、ものを下に投げ下ろしたわけですから、場合によっては時速100km近く出ていたかもしれない。一方、向かい合って走ってくる車も時速100kmだとすると、相対速度は時速200kmと新幹線並みの速さになります」

現場の状況からすると、フェンスによじ登った無理な姿勢で、タマゴを速く投げるのは難しそうだが、「犯人の中には野球経験者もいたので、かなりの速度が出たのではないか」(前出・神奈川県警松田警察署)という。

では、タマゴを車にぶつけたときの衝撃力はどれくらいになっていたのか。北里大学理学部の山本明利教授は、次のように概算してくれた。

「かりに、手で放ったタマゴが時速80kmで、時速100kmの車と正面衝突したと考えてみます。相対速度は時速180km。秒速に直すと50mです。

これをもとに、衝撃が与えられた時間を計算してみます。

長さ5cmのタマゴがまっすぐ当たって、当たった場所は衝突した瞬間すぐに変形して潰れたとします。相対的にタマゴは秒速50mでフロントガラスにぶつかっていますから、5cmのタマゴが端から端までぶつかりきるのにかかる時間は、5cm÷秒速50m=0・001秒。つまり、1ミリ秒で衝突が終わります」

「重さ300kgの凶器」と化す

ここから、話は少し難しくなるが、分かりやすく解説してもらおう。

「次に、運動している物体が他の物体に与える衝撃の大きさを考えます。これは物体の質量×速度で計算される『運動量』で示すことができます。『重いものが、速く動いていれば、ぶつかったときに相手に与える力が大きい』とイメージしてください。

タマゴの質量を60g=0・06kgとすると、相対速度の秒速50mとかけて、相対運動量は3kgm/秒となります。

これで、衝撃力が計算できます。タマゴはフロントガラスに、これだけの相対運動量を、1ミリ秒の間にたたきつけることになりますから、その瞬間の力は、3kgm/秒÷1ミリ秒=3000N(ニュートン、力の単位)となるのです」

3000Nというと、どれほどの力なのか。

「体重約300kgの人が全体重をかけるのと同じと考えていいでしょう。 

実際には、タマゴが当たったごくわずかな範囲に、この力が集中します。タマゴの直径というのは3cmほどでしょうか。すると、直径3cmの竹馬一本に体重300kgの人が乗ったような力が瞬間的に加わったのだと分かります」(山本氏)

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