賢者の知恵
2015年12月09日(水) 週刊現代

各界の一流が明かす「苦しみから抜け出す方法」
~現役引退、身近な人の死。そのとき、彼らはどう振る舞ったか

週刊現代
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追いかけるから、苦しくなる。追いかけるから、負けてしまう。作家・伊集院静氏が新刊に込めたのは、懸命に生きる人々に向けた励ましのメッセージだ。各界の一流たちの共感の声を紹介する。

過去の成功にとらわれるな

〔PHOTO〕wikipediaより

今季限りで現役引退を決めた、小笠原道大氏。

フルスイングにこだわり、愚直に己の野球道を追求してきた現役生活だったが、9月17日に開かれた引退会見で見せたのは、意外にも、爽やかな笑顔だった。

小笠原氏が語る。

「プロに入って以来、一年一年が勝負だと思ってやってきました。その積み重ねで19年、プレーできた。悔いはありません。皆さん、涙の会見を期待していたみたいですが、私からすると『なんで泣かなくちゃいけないのか』というのが正直な気持ちです」

すでに、来季から中日二軍監督へ就任することが決まっている小笠原氏は、今オフの秋季キャンプにも参加。早くも指導者としての人生をスタートさせている。

「『現役時代を振り返ってどうでしたか?』とよく聞かれるのですが、いつも『申し訳ありませんが、わかりません』と答えています。引退したからといって、一休み、という感覚はないんです。指導者としてはまだ駆け出し。まさに勉強を始めたばかりです。だから、自分のことを振り返る気もないし、終わったという気持ちもない。まだまだ、野球については経験していないことが多くあります。これから、それを追求していきます」

なぜここまでさっぱりとしているのか。それは、小笠原氏が常に「今」を生きてきたからだ。

「プロである以上、野球は仕事ですから、稼ぐために成績や勝利を追い求めてきた。特に私の場合、'97年に社会人から日ハムに入団したときすでに家族がいたため、養っていかなければという思いが強かったですからね。

ただ一方で、年齢的な衰えに抗おうとは、まったく思わなかった。年齢を重ねることで、若い頃にはできなかったプレーができるようになります。勢いではなく、技術・経験を活かせるようになるんです。『今までできたのに、おかしいな』ではなく、『今なにをやるべきか』を常に考えていた」

だからこそ、'11年に大スランプに陥ったときも、野球から離れようとは、まったく思わなかったという。

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