賢者の知恵
2015年12月08日(火) 慎 泰俊

本州縦断1648キロを完走!
ウルトラマラソンが教えてくれた「心と仕事の整え方」

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〔PHOTO〕iStock

文/慎泰俊(起業家)

マラソンやトライアスロン、更にはウルトラマラソン(マラソンよりも距離の長いレース)などのレースにはまっている経営者やビジネスプロフェッショナルが増えています。もちろん私の周りにそういった知り合いが多いということもあるのかもしれませんが、周囲にはここ4、5年の間に長い距離を走るようになった人が増えました。

それはなぜなのか。もちろん楽しいということもあるのでしょうけれども、もうすこしプラグマティックな理由もあるのかもしれません。

私が長い距離を走るのは、もちろん走るのが好きというのもあるのですが、一番の目的は、自分の自意識を抑えること、物事を毎日きちんと続けることの二つにありました。つい最近『ランニング思考』という本を書いたことで、ある程度考えがまとまってきたので、そのことについて書いてみたいと思います。

自意識やコンプレックスを退治するために走る

私自身、10代後半、20代前半に色々なわだかまりをもって生きていたこともあり、ずっと世間や周りを見返してやろうとばかり思っていました。自意識がとても強く、自分の「世間ランキング」がどこまで上がるのかが気になっていたのです。

自分がどうあるか、ではなくて、自分が周りからどう受け入れられているのかが気になり、自分が責められたりしたらそれに反論せずにはいられませんでした。ソーシャルメディアのフォロアー数の増減が気になったり、メディアに出たらそれがどう受け止められるのかが気になったり、しゃかりきになって周りから評価されやすい事をしようとしていました。

自己弁護をする訳ではないのですが、逆境から這い上がってきた人間は、こんな風にコンプレックスと自意識の塊になりやすいと思います。もちろん、特に若い時期にはコンプレックスや自意識が人間の原動力となることはありますし、さらに誤解を恐れずにいえば、世の中で目立っている人の多くがコンプレックスと自意識の塊となっているように思います。

ですが、自分がどうあるかでなく、自分がどう思われるかを気にする人は、自己の精神が何かに隷属しているわけで、実はとても惨めだと思います。そして、多くの人がその精神的奴隷状態から抜け出せないまま人生を過ごします。もっとお金が欲しい、もっといい人と恋愛をしたい、もっと世間から注目されたい、という様にです。本当はとても憐れなのですが、当の本人たちが自分を成功者と思っていることが多いのは、とても悲しいことです。

更にいえば、自意識やコンプレックスに囚われている人は、決して自分の力を最大限に引き出すことができないと思います。なぜなら、「自分はどうあるべきか・どう行動すべきか」でなく、「自分がどう思われるのか」ばかり考えていたら、心の赴くところと行為を一致させられないからです。

この自意識やコンプレックスと決別するにはどうしたら良いのでしょうか。色々な答えがあると思いますが、一つの方法は、自分にコントロール出来ない事象に徹底的に打ちのめされつつ、目的達成のために頑張り抜くことにあるのではないかと思います。

私にとっては、それがウルトラマラソンでした。

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