なぜセブ島・スラム街の住人は、死者を笑顔で送り出せるのか
~丸山ゴンザレスの「クレイジージャーニー裏日記」④

「墓場はどこですか?」

丸山ゴンザレスが「地球の裏側」を歩くシリーズ。「セブ島スラム街」の後編をお届けする(前編はこちらをクリック)。「墓場に住む人々がいる」という情報を耳にしたゴンザレスは、「セブで最も危険な場所」に向かったーー。

セブ島でもっとも危険といわれていたロレガを探索した私は、次なる目的地へと移動することにした。それは、「墓場(セメタリー)のスラム」。ロレガには、墓場に住む人たちがいるらしいのだ。そんな場所に来て取材しないという選択肢はない。私は奥へと進んだ。

ロレガの外周に沿った通りを歩いていると、店の軒先で大きな肉の塊を焼いている。実に美味しそうだった。

「ひと口、売ってくれないか?」
「これはキロ単位じゃないと売れないよ。買ってくれるかい?」
「ごめん。無理だ~」

そんなやり取りを経て再び歩き出したが、肝心の墓場のスラムの場所がわからない。かといって、地元住民に「墓場スラムはどこですか?」「墓に住んでいる知り合いはいますか?」などと聞くのもはばかられる。微妙なさじ加減だが、意外とそういう気遣いがトラブルに発展するかどうかの分かれ目だったりする。

とりあえず、「墓場はどこですか?」と質問して回ることにした。

いざ通行人や遊んでいる子供、家の前で洗濯をしているおばちゃんなど、何人かに聞いてみたもののどうも要領を得ない。墓場のことを知らないというわけではなく、どうも外国人と接するのが面倒くさいという感じが伝わってくる。

あまり外国人が訪れることもない地域に来ると見受けられる反応だ。とどまっていても仕方ないので、さらに手当たり次第に声をかけていくかと思ったところで、肉体労働者風の老人が目の前を通った。なにげなく彼に声をかける。

「セメタリー(墓場)は、どこにあるかご存じですか?」
「あ? 墓か。それならついて来い」
「え、そうですか。ありがとうございます」

幸運にもいきなり当たりを引いたようだ。実に都合の良い急展開。仮に間違っていたとしても、取り返しがつかないということにはならないだろう。老人についていくことにした。

彼が進んだのはスラムエリアから大きな通りを渡っていくルートだった。どうやら私が探しまわっていた場所には、そもそも墓場はなかったのかもしれない。

「ここだ。着いたぞ」

老人が指差した先には屋台が軒を連ねて、その奥には小さな小屋のようなものが立ち並んでいた。屋台では石版やロウソクなどが販売されている。小屋は近づいてみると、棺が置いてある。ここが墓場であることは間違いないようだ。あとは、住んでいる人がいるかどうか…。