「ドラギに裏切られた!」
世界の市場が欧州中央銀行に失望したワケ

【PHOTO】gettyimages

典型的な「ペイントレード」

12月3日、ECB(欧州中央銀行)は預金ファシリティ金利を0.1ポイント引き下げ、マイナス0.3%とし、量的緩和を2017年3月まで延長すると発表した。事前に0.2ポイント程度の追加利下げ、量的緩和の拡大を期待していた市場にとって、この発表は大きな失望だった。

失望の結果、為替相場ではユーロ安にかけていたポジションの巻き戻しが進み、ユーロは対ドルで3%超急伸、ドルは主要通貨全体に対して2%程度下落した。友人のトレーダーの何人かは、「ドラギに裏切られた」と言っていた。市場はかなりの踏み込んだ策を期待していたようだ。

今回のECB理事会後のユーロ高は、期待と裏切られた取引=ペイントレードの典型だ。10月にドラギ総裁が追加緩和を示唆して以降、投資家だけでなくエコノミストやストラテジスト等が、過度なまでにユーロ安、金利低下を見込んできた。

ペイントレードは為替相場にとどまらず、世界的な株価の下落にもつながった。そして、欧州での金利上昇が米国にも波及し、米国債も大きく売り込まれることになった。それに加えて、イエレン議長が12月利上げを示唆する発言をしたこともあり、長期金利は一時2.34%に達した。

実体経済が伸び悩む中、市場は金融政策に依存してしまっている。ディーラーやファンドマネージャーと話すと、「期待を抱かせた中銀が悪い」と自己弁護に回る声が多かった。それは、冷静にリスクを評価できていなかったことの裏返しだろう。ドラギ総裁の言う通り金融政策は期待に応えるためのものではない。

今回の動きを振り返ると、市場はECBの意思決定上の課題を見落としていた可能性がある。この点を軽視したがために、多くの投資家が政策への過度な期待を抱き、それが市場に浸透してしまった。

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