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海外勢がシェア9割の「人工心臓」に20年挑戦!
小さな町工場から見えた「技術立国の大復権」

『下町ロケット』を超える劇的ストーリー
〔PHOTO〕下町ロケットHPより

ことごとく門前払い

人気ドラマ『下町ロケット』のプロデューサーを務める伊與田英徳氏が語る。

「『技術立国』である日本には、多くの素晴らしい国産技術があり、我々の生活を支えてくれています。しかし、ドラマで描かれる心臓の人工弁に関しては、海外に比べ大きく遅れを取っているという現実がある。『ガウディ計画編』を通じて、日本の技術が人工弁の分野でも世界レベルまで発展できるよう、応援できたらいいなと思っています」

ロケット編が完結し、「ガウディ計画編」がスタートした『下町ロケット』。ドラマでは、悩み抜いた末に佃製作所社長・佃航平が人工心臓弁の開発を決意するが、実際には、ほとんどの企業がその決断を下せない。

現在、日本で使われている医療機器の約9割は海外製。原因は、日本の「体質」にある。

日本では厚労省による認証試験が厳しく、製造承認が下りるまでに海外よりもはるかに時間がかかる。時間の分だけ企業のコストは高くなり、しかも、医療事故のリスクは常につきまとう。「まったく割にあわない分野」だからこそ、国内企業は医療機器に進出しないのだ。

だが、そんな医療分野に、あえて挑戦し続けてきた企業がある。

長野県諏訪市。諏訪湖からほど近いのどかな高原にある、サンメディカル技術研究所。従業員70名の小さな町工場だ。

しかも、同社が開発しているのは、佃製作所が作る人工弁以上にコストも技術力も必要になる、人工心臓そのもの。同社の工場内には精密機器が並び、ドラマさながらの「開発室」まで完備。世界最先端のレベルで、研究開発が行われている。

同社が製造するのは、「エバハート」と呼ばれる人工心臓。国産初の「体内埋め込み型人工心臓」として知られる、同社の技術の結晶だ。だが、製造にこぎつけるまでには、苦難の連続だった。