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もしもニューヨークでテロが起きたら、世界の経済はどうなるのか?
~経済の専門家に「最悪の可能性」を聞いた

「9.11」時、日本の株価は1日で600円以上も暴落した〔PHOTO〕gettyimages

巨大企業が瀕死の危機に

「ニューヨークで大規模なテロが起きれば、'01年の『9・11』の時と同じように、世界の株式市場は一時的に大暴落するでしょう。1日で10%くらいの暴落もあり得る。

マーケットでは取引停止などのサーキットブレーカーが発動される事態も予想されます。日経平均株価は恐怖相場で下げていき、1万5000円くらいまで落ちてしまうかもしれない。為替市場では米ドルが一気に売られる一方で円が買われ、テロ翌日には1日で10円くらいの超円高になることも考えられます」(日本総研副理事長の湯元健治氏)

ニューヨークはアメリカのみならず、世界経済の心臓部だ。

ここがテロリストたちに一突きされれば、文字通り、心臓は止まる。

つまり、世界経済は一瞬にして凍りつく。

「いまニューヨークでテロが起きれば、『9・11』の時以上に、マーケットが受ける衝撃は大きい」

クレディ・スイス証券チーフエコノミストの白川浩道氏は言う。

「当時はまさにこれから米景気が回復期に入ろうとしているタイミングでしたが、現在は米景気がこれからピークを迎えて下降に入る時期。そのため、『9・11』の際にはテロから1ヵ月ほどで株価が戻り始めましたが、今回は違う流れになると予想されます。テロ直後から暴落した株価が、その後もズルズルと値下がりして、元に戻らない可能性がある。

もちろん、実体経済への影響も甚大になる。米欧がテロを受ければ、恐怖心理から消費が減退する。すでに下降し始めている中国経済をますます窮地に追い込むし、新興国の景気もさらに悪化していき、世界的に景気に急ブレーキがかかってしまう。日本では景気の原動力となっているインバウンド(訪日観光客)消費が急減し、大打撃を受ける可能性すらあります」

ILO(国際労働機関)によれば、「9・11」の際にはテロの直接的・間接的な影響で、世界で3000万人もの失業者が生まれた。が、世界中の企業はいま、当時よりグローバルかつ密接につながっている。一つのテロが与えるインパクトは、14年前の比ではない。

「巨大企業を瀕死させることすらあり得る」と、元スイス銀行ディーラーでマーケットアナリストの豊島逸夫氏は言う。

「いまニューヨークでテロが起きれば、ヒトやモノの流れが一瞬にしてストップしてしまうのが、一番恐ろしい。国境の監視態勢が強化され、セキュリティ強化のために通関事務も今まで以上に時間がかかるようになると、グローバルにつながった企業間のサプライチェーン(供給網)が分断されてしまうのです。

となると、部品が届かないような緊急事態が企業を次々と襲い、製造業はモノを作れなくなるリスクに直面する。自動車やスマホが作れなくなるのですから、日本やドイツの自動車メーカー、電機メーカーは大打撃を受ける可能性がある」

岡三証券日本株式戦略グループ長の石黒英之氏も言う。

「サプライチェーンが止まると、世界各国のメーカーと取り引きをしている日本の部品メーカーは納入に支障が出てくる。村田製作所や京セラなどの株価は急落しかねません。スマホ部品が絶好調のソニーもダメージが深刻になるでしょう。会計問題に揺れる東芝も稼ぎ頭の半導体に影響が出れば、さらなる資金繰りを模索しなければならないリスクが高まる」

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