社会

貧困・格差
虐待、暴力、錯乱・・・「生まれる前からお前が憎かった」と母にいわれ続けた、ある女の告白
〔Photo〕iStock

安田加奈(仮名)。47歳。独身。都内の小さな音楽事務所に勤めている。人口5万人ほどの中国地方の町で生まれた。中小企業を経営していた父と専業主婦の母、2つ歳上の兄、6つ年下の妹の5人家族。子どもの頃から母親に虐待されて育った。

日常茶飯事に殴られて

幼少期の記憶をたぐっていくと、その先に浮かびあがるのは、いつも頬を平手打ちされ、泣いている自分の姿である。そして「自分が悪いんでしょ。はい、わたしが悪かったです。ごめんなさいって謝りなさいよ!」とヒステリックに怒鳴る母の姿である。

母には毎日のように殴られた。「ただいま」と言って家に帰るなり、まだランドセルも降ろしていないうちに、いきなり平手打ちをされたこともある。理由はわからない。

漢字テストが95点だったことに腹を立てた母に、「どうしてママに恥をかかせるのよ!」と罵られて往復ビンタをくらった時には、しばらく左耳が聞こえなかった。

母の虐待は、身体的な暴力にとどまらなかった。

ぼんやりしているわたしの後ろで、大きな音を立ててものを置き、力任せにドアを閉め、娘が驚き、怖がるのを見て、意地の悪い微笑みを浮かべていたことも多い。そのくせ、わたしが呼ぶか、話しかけても、よく聞こえないふりをされた。

実際、家族の誰も見ていないところで、母は巧妙にわたしを虐待していた。ところが子どもの頃のわたしは、自分が虐待されていることに気づかなかった。

そして、自分が日常茶飯事に暴力を振るわれ、モラハラの被害に遭っていることを、家族のみんなも知っているはずだと思い込んでいた。

母の虐待は、家族の誰にも知られることなく、密室で続いた。