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イスラム国、まもなく中国に侵入か【佐藤優のインテリジェンスレポート】
拠点を奪われたテロリストが向かう先
〔PHOTO〕gettyimages

イスラム国によるテロで、世界情勢はいよいよ混迷を深めている。もはや「戦争の時代」に逆戻りしたと言っても過言ではない。そして、日本や中国にとってもこの「戦争」は遠い国の話ではなくなってきている。なぜか? その根拠を佐藤優さんが明かす。

※本記事は佐藤優さんが出演する文化放送「くにまる・じゃぱん」の放送内容(2015年11月20日)を一部抜粋して掲載しています。なお、野村邦丸氏は番組のナビゲーターです。

化学兵器、生物兵器も持っている

邦丸: 1月のシャルリー・エブド襲撃事件は、要するに一匹狼的な犯罪で、イスラム国からの指示を明確に受けて、さあ、やろうという組織立った犯罪ではないと佐藤さんにうかがった気がするのですが、今回はかなり組織的な指導があったということですか?

佐藤: 前者も組織立った犯罪ではあるわけです。司令塔があって、このタイミングでスタートしろという指令は機関決定ですから。今回のテロは、そういう意味においては1月に起きたシャルリー・エブド襲撃事件と構造は一緒なんです。これをいち早く予言していたのは、イギリスですよね。

邦丸: MI6?

佐藤: MI5です。シャルリー・エブド襲撃事件の後、アンドリュー・パーカー長官が「これは西側全体に対して向けられている。シリアのアルカイダ系組織によって、象徴的な施設が狙われているんだ」と言いました。

つまり、彼は、「これは単にフランスだけの問題ではないし、シャルリー・エブドがムハンマドの風刺画を描いたことだけが問題なのでもない。要するにイスラム世界革命戦争が始まったんだ」という警告を出したんですけれど、まさにそのとおりなんです。

怖いのは、フランスの首相が「化学兵器、生物兵器を使ったテロがあるかもしれない」と言ったこと。日本ではあまり大きく扱われていませんが、イスラム国が化学兵器、生物兵器を入手できる状況にあるという情報をつかんでいるから、そう言っているわけですよ。

邦丸: フランスのバルス首相ですね。

佐藤: これは恐ろしい話なんですよ。要するに、オウム真理教がかつて行った、あのタイプのテロがフランスで起きる可能性があるということです。

邦丸: うーむ。ただ今回、IS(イスラム国)が一気に革命を起こそうとしているなかで、ロシアは相当ISの拠点を叩いている。ロシアの空爆は、ISにかなりの打撃を与えていますよね。

佐藤: そのとおりです。今回、日本の新聞を読んでいると、どうもISが攻勢に出てきたように見えるんですが、これは逆です。

本当はシリアとイラクに拠点をつくりたいんですよ。ところが前にもこの番組でお話したとおり、ロシアが新兵器のパンツィーリS-1、地対空ミサイルのSA-22をはじめとして、空爆も行うし、皆殺し作戦にしているわけですね。だから、ISはかなり参っているんです。

ですから、戦線を拡げて、ロシアは諦めないだろうが、フランスは諦める可能性があるから、波状攻撃でフランスでテロを行わせて、ヨーロッパ全域に厭戦思想をもたらして、「もう関与しないほうがいい。あそこはスジが悪いから」という雰囲気にして、自分たちの拠点を維持していくという計算ですね。