政治政策

やっぱり橋下市長の国政進出はあるのか?~幹部らの証言から読み解く維新のこれからと残されたナゾ

鈴木 哲夫 プロフィール

「憲法改正での協力が必要だと考えれば、安倍首相が橋下さんを『使える男』と思っているのは間違いないでしょう。橋下さんも、都構想で中途半端な形で終わるのは嫌だと考えているはず。彼は『リベンジの人』ですからね。

一旦は政治から離れますが、戻ってくる可能性は十分にある。実は、来年衆参ダブル選挙が行われるとのウワサがありますが、そのゆな『大戦(おおいくさ)』となれば、出馬でしょう」

さらに、来年の選挙を待たずに「大阪市長の任期が終わったら、安倍首相は橋下氏を大臣や参与など民間登用するのではないかという話も出始めている」(自民党中堅幹部)ともいう。

本来なら、自民党政権とは理念が違うはずだが……

一方で、大阪には今回のダブル選の後遺症も確実に残る。

敗れた自民党大阪府連は「安倍官邸が自分たちの頭越しに橋下氏らと良好な関係を築いていることに、党内での反発が生じ、党中央と大阪の溝が深まった」(自民党府議)と話している。中央への不信感が残った、ということだ。

また、今回の維新の「内紛」騒動については「いい加減にしろとかいう有権者の声は大きい」(関東地区の維新国会議員)ようで、口汚く互いを罵る場面などは、関西以外では橋下氏らへのマイナスの印象を抱いたに違いな。

「今後、政局においてはおおさか維新や橋下氏らの影響力は全国的な広がりがなく低下する」(前出関東地区維新国会議員)との見方もある。

ただ、政局面だけではなく、政策的な視点も付け加えておきたい。橋下氏が登場した時から私は主張してきたが、本来「大阪都構想」とは、日本の地方自治全体が直面する「決して避けては通れない問題・テーマだ」ということだ。大阪と同じように二重行政問題を抱えている自治体は多い。

たとえば横浜市と神奈川県、福岡市と福岡県、札幌市と北海道、仙台市と宮城県などなど。俗に大都市問題とも言われ、今後少子高齢化が進む中で人口がさらに政令市に集中していく。一方、その周りは過疎化が進み、経済圏も人口分布も税収も、そして文化さえも、いびつになっていく。

二重行政の解消だけでなく、大都市と過疎地をどんなバランスで運営する自治体にしていけばいいのか、場合によってはあらたに道州制を導入するなど地方自治の仕組みを考える時期に来ている、その中で、大阪都構想は一つのモデルケースとして全国が注目すべきテーマだと考える。

橋下氏自身も、当初は大阪都構想を「日本の地方自治の仕組み、統治のあり方を変えることだ」と位置付けていたではないか。

ならば、橋下氏や松井氏は、道州制などには消極的で、霞が関とともに中央集権体制を守ろうとする自民党政権と仲良くやるのは、おかしな話だと思う。反自民を掲げ、あくまで改革側に立つべきだろう。

にもかかわらず、国政に足を踏み入れて、安倍官邸に軸足を置くなどただ権力闘争に酔いしれているだけではないか―、その辺りに疑念を抱き欺瞞を感じでしまうのである。