国際・外交
パリの悲劇で「息を吹き返した」習近平外交〜経済失速による四面楚歌から一転
トルコG20サミットで中国はどう動いたか
〔PHOTO〕gettyimages

中国はトルコG20でどのような役割を演じたのか

現地時間11月13日金曜日の夜9時頃、パリで同時多発テロ事件が勃発した。やや不謹慎な話で恐縮だが、この事件によって、中国の習近平主席は内心、自分にもまだ運が残っていると思い、安堵のため息を漏らしたに違いない。

中国政府が「双峰」(ダブルサミット)と呼んだ6日間に及ぶ「習近平外交」は当初、かなり頭の痛い旅になることが見込まれていた。

前半のトルコG20(主要国・地域)サミットでは、中国経済の失速と、それが世界経済にもたらす影響について各国から糾弾の嵐となることが予測された。それが終わると、休む間もなくフィリピンへ飛ぶが、今度はAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議で、南シナ海の埋め立て問題を巡って、日米やASEAN諸国から集中砲火を浴びることが予想された。

そもそも習近平主席は、今回のG20とAPECを、来月発足する「AIIB」(アジアインフラ投資銀行)と「一帯一路」(「シルクロード経済ベルト」と「21世紀海上シルクロード」)の推進、及び今月末のIMF理事会で正式決定する人民元の「SDR」(特別引き出し権)取得による人民元貿易促進を世界にアピールする場にするつもりだった。

ところが国際社会は、中国に対して疑心暗鬼になっている。中国経済はまもなく底が抜けて、世界的金融危機の引き金となるのではないか、中国は南シナ海に軍事基地を設置し、他国の船舶を閉め出す「海賊国家」と化すのではないか・・・。

そんな時に、パリで悲惨なテロ事件が発生したため、習近平主席の憂鬱のかなりの部分を雲散霧消させてくれたのだ。世界がテロ問題一色となった結果、習近平主席は、自国に有利と思えばテロへの非難声明を発し、不利と思えば口を噤んでいればよかったのである。

そのためG20とAPECで、中国がどのような役割を演じたのかという日本の報道は、極端に少なかった。そこで今回の習近平外交について、改めて検証してみたい。今週は、11月15日と16日のトルコG20にスポットを当てる。

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