読書人の雑誌『本』
「帝国議会」とは何だったのか?
〜二つの「100年」から議会政治の核心に迫る

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このたび講談社選書メチエ『帝国議会〈戦前民主主義〉の五七年』を刊行させていただいた。戦前に開かれていた帝国議会を支える諸要素、法的枠組みから、政党や代議士、そこで応酬された弁論の特質までとりあげ、論じたものである。従来にない試みとして、ささやかな自負を持っている。

帝国議会との最初の出会いは、政治過程の重要な舞台としての接触であった。舞台自体に着目して最初の単著を著すまで20年、今回の著書までさらに18年が経過している。その間、帝国議会を運営していた人々の、議会への思いに興味ひかれたことが執筆の原動力となったのは、「あとがき」のとおりである。

ただ、そこに尽くせなかった分を補足するとしたら、二つの「百年」記念の催しということになろうか。

最初の「百年」は、「自由民権百年」。昭和56年の民権百年集会を皮切りに、民権運動を回顧・総括し、研究の次なる進展につなげようというキャンペーンが、学界を中心に展開された。その当時埼玉県の県立高校で教員をしていた私は、教員向けの研修会で、まさに民権運動研究の中心にいた某大学教授の講演を聴いた。

その印象は、つまらなかった、という以外にない。それは多分、私自身のレベルの問題であったろうが、内容が反芻ないし再確認にとどまっていたからでもあった。名著『明治政治史の基礎過程』を書かれた有泉貞夫氏が、『史学雑誌』の「回顧と展望」(昭和58年分)で民権運動研究の沈滞を指摘し、その文脈で「民権百年集会以来の人海作戦的な関心の喚起は研究に対して何だったのだろうか」と問いかけたが、それは私自身の経験ともつながっていたように思う。

もう一つの「百年」は「議会開設百年」である。平成2年が第一回帝国議会からちょうど百年であることを記念して、同年12月1日、衆議院・参議院主催「議会開設百年記念 講演会・シンポジウム ―我が国議会の過去・現在・未来―」が開催された。

この時には大学に奉職していた私は、イベント自体に参加はできなかったが、当日の模様を記録した同題名の冊子(平成3年刊行)で全容を知り、堪能することができた。特に、シンポジウムでの北岡伸一(立教大学教授、所属は当時、以下同じ)、村松岐夫(京都大学教授)、佐藤誠三郎(東京大学教授)諸氏の報告、それに続く福田一、多賀谷真稔といった政治家OBの方々も交えた討論は文句なく面白かった。