パリ同時テロで露呈した「イスラム国」の戦略的限界
中東では八方ふさがり!?
フランスのオランド大統領。断固テロと戦う姿勢を示し、諸外国もそれに同調しているが……〔photo〕gettyimages

文/オリビエ・ロイ

対ISISにおいて、フランスは「孤立」している

フランスのフランソワ・オランド大統領が宣言した通り、同国はイスラム国と戦争状態に入った。

フランスは今日、ISISとも呼ばれるイスラム原理主義者のグループが自分たちの最大の敵であると考えている。中東にいるアメリカ人とは最前線で共闘し、またサヘル(中央アフリカ北部)では西側唯一の国としてISISと戦っている。

フランスのISISとの戦いは最初に2013年にマリで始まり、現在、同国の武装部隊の割合は米国をはるかに凌ぐ。

金曜日(11月13日)の夜、フランスはその代償を払うことになった。その後、すべての西側諸国から団結を表明するメッセージが相次いでいる。しかし、フランスは妙に孤立している。というのは、これまで、ISISが今日の世界にとって最大の戦略的脅威だとしてきた国は他にないからだ。

中東における主要人物は、他の敵の方がより重要だと考えている。バッシャール・アル=アサドの主な敵はシリアの反対勢力だ。現在、これはロシアにとっての主要ターゲットでもあり、ロシアはアサドを支持している。

実際アサドにとって、自分とISISの関係には何の問題もないことがメリットとなっている。それにより、イスラムのテロリズムに対する最後の砦という役割を演じられるとともに、西側諸国の目から見て、国民を暴力で抑圧することで失った政権の正当性を取り戻すことができるからだ。

トルコ政府の立場は明白だ。彼らの主な敵は、クルド人の分離主義だ。シリアのクルド人がISISを制覇すれば、クルド労働党(P.K.K.)は安泰な地を見出しトルコに対する武装攻撃を始めかねない。

シリアのクルド人であれ、イラクのクルド人であれ、自分たちにとっての新たな境界線を防御できる限り、ISISとは衝突したくない。

彼らはアラブの世界が、これまでよりさらに細分化されることを望んでいる。シンジャルはクルド人の地域にあるので奪取したいが、モースルはイラクの手中に落ちるだろうから攻撃しないという立場だ。

イラクのクルド人にとっての最大の危険は、イラク内に強力な中央政権が出現することだ。なぜなら、今日、既成事実となっているイラク・クルディスタンの独立が脅かされる可能性があるからだ。ISISは、そうしたいかなるスーパー・パワーが生まれるのも阻止する存在となっている。

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