格差・貧困

見えない日本の「貧困家庭」~子どもたちへの「負の連鎖」をどう断ち切るか

安倍昭恵×黒沢一樹(第3回)

安倍: でも黒沢さんはすごいですよね、自分の過去をここまで語れるというのは。普通は隠したいものじゃないですか。まだ隠しているところはあるのかもしれないけど。

黒沢: 腹黒さとかですかね(笑)。何でしょうかね、結局僕は何かに生かされている人間だというふうにどこかで勘違いしちゃったので。

安倍: 勘違いじゃなくて、神様に選ばれたんだと思いますよ。

黒沢: そう言っていただけるとありがたいんですが、僕は誰かに使ってもらわないことには何の価値もない人間なんですよ。だからこれはある意味で、ネガポジで言えばよかった部類に入るのかな、と。

苦しい人たちが僕を見てふっと表情が変わることがあるんです。定時制高校の生徒なんかもそうなんですけど、「まだ自分は大丈夫なんだ」と思ってくれる。だったらどんどん深い話をしていかないと彼らに届かないなと思って、自分の過去もどんどん表に出すようにはしているんです。

「これがいい」ではなく「これでもいい」で掴める幸せ

安倍: 貧困層だけのことじゃないと思います。みんないろいろな事情を抱えていながらも口に出せなかったりするし、エリートや幸せそうに見えたりする人たちも、他人と自分を比較したり、自分でどうしていいかわからない問題を抱えていて、うつ病になったりしているんだと思います。けれど、黒沢さんを見ると「ああ、これでもいいんだ」って思えるんじゃないですかね。

黒沢: 僕はいつも「『これがいい』とは思わないでください、『これでもいい』と思ってください」と言っています。「これがいい」というのはたまにしか出てこないんです。

安倍: 黒沢さんの著書に「一つの夢を追い掛けていくのではなく、自分が一番できないもの、イヤなものを見る」ということが書かれていますよね。「ああ、そういう考え方もあるんだな」と学ばせてもらいました。

黒沢: ベストワンもあればワーストワンも必ずどこかにあるんですよ。そして、そのベストワンもワーストワンも日々変わっていくものです。

僕がこれまで何とかやっていけたのは、「貧乏はイヤだ」、「飯が食えないのはイヤだ」、人との関わりで言えば、3番目の父親を見て「絶対こんな人間にはならない」という指針があったからなんです。

どんなにろくでもないことをやっていても、そうなっていなければ何でも許せたので楽だったんです。最悪の状況を設定しているので、そうならなければ人生ハッピーなわけですよ。