賢者の知恵
2015年11月23日(月)

見えない日本の「貧困家庭」~子どもたちへの「負の連鎖」をどう断ち切るか

安倍昭恵×黒沢一樹(第3回)

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安倍昭恵さんと黒沢一樹さん
就職に悩む若者や生きづらさを感じる若者をサポートするNPO「若者就職支援協会」 理事長の黒沢一樹さん。父親が4人、兄弟は6人、貧困、継父からの虐待、中卒で就職、その後転職は50回……と34歳 にして壮絶な人生を送ってきた。現在はその経験を活かして、キャリアコンサルタントとして将来に悩む若者たちに寄り添う。そんな黒沢さんの話を聞きたい と、首相夫人の安倍昭恵さんがインタビューを実施。その内容をお届けする。第3回は、NPO「若者就職支援協会」を立ち上げたきっかけ、今後の展開についてーー

第一回はこちらからご覧ください⇒父親4人、貧困、虐待、中卒で就職、インドネシアで1000万の生命保険に・・・黒沢一樹の「壮絶人生」

第2回はこちらからご覧ください⇒自殺未遂、起業、借金、転職50回……破天荒な人生に「普通」の幸せを与えてくれたのは「結婚」だった

余裕のない自分がNPO活動をする理由

安倍: 今はNPO法人として、定時制の高校や貧困家庭の子供たちのための支援をする活動をされていますよね?

黒沢: はい。実際にやってみてわかったのは、NPO活動は、基本的に余裕がなければできないということなんです。もしくは本当に熱い想いがあるか。余裕のない当事者性をもった人がNPOを立ち上げることは少ないと思います。

僕のような底辺層にいる人間は、自分自身が日々生きていくことに精一杯ですから、NPOをやる理由がないわけです。

そもそも僕はNPOを立ち上げようとは思っていなくて、これまで会社経営を何回か失敗しているので、お金のかからない方法をネットで探して、NPO法人という事業形態を知ったんです。設立費用はタダで済むし、寄付金と会費でやっていけば税金もかからない。「これだ!」と思ってNPOという形を選んだだけなんです。

10年くらい前は「今の若者は甘えている」と言われていて、僕も同じように思っていました。「くそったれな大学生たちと偉そうな中小企業のおやじたちをつなげたらお金になるだろう」というのが最初の動機でした。

でも、NPOを始めてたくさんの若者と会ううちに、「ああ、これは若者が甘えているだけじゃないな」と思うようになったんです。結局彼らはどんな選択肢があるのか知らないだけなんだ、と。そもそも会社を知らない、業種を知らない、職種を知らない、世の中の辛さも知らない。

「ああ、これはやばいな、誰かがやらなければいけないな」と思って周りを見渡してみると、それを伝えられる人が僕しかいなかったんです。

そのときはじめて「想い」が湧いてきたわけですが、NPOをやっている人には中卒の人がほとんどいませんから、いろいろな人に否定されて、最初の3年間くらいは名刺さえも受け取ってもらえませんでした。でも、「この活動には意義がある」と僕自身は思っていました。

子どもたちに上から目線で「教えられる」人はいるんですが、肌感覚や同じ視座で伝えられる人間がいなかったんです。僕は何回も死にかけた経験があるし、これまで悪いこともたくさんしてきましたから、社会に対して恩返ししていきたいという気持ちがどこかにあったんですね。

安倍: そのために生まれてきて、生かされてきたのかもしれないですね。

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