パリ・テロ事件で高まる「移民排斥論」。しかし、日本が直面する問題を考えたら、移民受け入れは必須だ
そろそろ真正面から議論したい
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「一億総活躍」は移民受け入れNOのサイン?

パリでの同時多発テロが世界に衝撃を与えている。とくに、おひざ元の欧州連合(EU)には、シリアなど中東諸国から大量の難民が流入していることもあり、さっそく難民や移民の受け入れを巡る議論が活発化している。

当然、これ以上の難民は受け入れるべきではないという世論が高まっているほか、移民の受け入れ自体に反対する右派勢力の声も強まっている。

問題はこうしたムードを受けて、日本でも情緒的な移民忌避のムードが強まることだ。

「やはり異質な外国人は日本には受け入れない方がよい」
「移民を認めたら国の安全が脅かされかねない」

そんな声がこれまで以上に勢いを増しかねない状況だ。

安倍晋三内閣は現在、公式には移民は受け入れないという姿勢を取っている。安倍首相は国会答弁で「いわゆる移民政策は取らない」と明言。今年9月30日に国連総会で一般討論演説を行った後の記者会見でも、

「人口問題として申し上げれば、我々は移民を受け入れる前に女性の活躍であり、高齢者の活躍であり、出生率を上げていくにはまだまだ打つべき手がある」

と答えている。

実はこの時の質問は「難民受け入れ」に対する質問だったため、難民と移民を混同していると一部で指摘された。だが、安倍首相に限らず、日本人の多くにとっては、難民も移民も区別がつかないほど、自分たちには関係のない遠い世界の問題としてしか認識されていない、ともいえる。

実際には「難民」は人道上の問題であるため、日本も国際社会の一員として何らかの支援を求められる。一方で、移民をどうやって、どの程度受け入れるかは、それぞれの国の政策ということになる。

安倍首相がアベノミクス第二ステージとして「一億総活躍」を打ち出したことについて、著名なエコノミストは「移民は受け入れないという宣言をしたのではないかと思った」と指摘していた。それほどに、安倍内閣は「移民は受け入れない」という姿勢を貫いていると見られてきたのだ。