閉塞した社会に風穴を開けた「LGBT」の功績
〜多様性はアベノミクスにも貢献する

佐藤優メルマガ「くにまるジャパン発言録」より
※本記事は2015年11月6日に佐藤優さんが出演した、文化放送「くにまるジャパン」の発言内容です。(※野村邦丸氏は番組パーソナリティです)
現代ビジネス×サイボウズ「ぼくらのメディアはどこにある」にて東小雪さんのインタビューを掲載中

邦丸: 続いて、この番組にも何度も登場してもらいました増原裕子さんと東小雪さん二人の同性カップル。

東京・渋谷区が(11月)5日、同性のカップルを結婚に相当する関係と認めるパートナーシップ証明書の発行を初めて行い、この増原さんと東さんの女性のカップルが第1号の証明書を受け取って、追随する動きを世田谷区も見せています。

これからこのLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)を理解する、そしてLGBTの存在というものを共有していくという流れになっていくのかと言われているんですが、佐藤さんはどのようにご覧になりますか。

佐藤: その方向で行かなければならないです。

いろいろな障害はあると思いますが、この二人がすごく立派なのは、逆風も強いと思うし、ネット空間ではすごく叩かれるし、人格的な誹謗中傷もなされるが、しかしそれでもいいんだという形で、やはり人間には人間の固有の権利がある、調査では13人に1人と言われている、その人たちは今まで隠していなければいけなかったという、こういう社会はおかしい、お手洗いにしたってレインボーのお手洗いがぜんぜんない、オリンピックを控えているけどこれでいいんだろうかという問題提起を一生懸命やってくれているわけですよね。

特にこれから重要なのは、子どもたちだと思う。要するに、人間の性というのはそう単純ではないということは、学術的には50年ぐらい前からそうとう言われてきているんだけれど、ようやく日本の社会にも入ってきた。

それで悩んでいた子どもたちはたくさんいるわけですよね。その子どもたちに、いろんな在り様があるんだからということで、そこのところで誰にも言えない悩みを抱えて人生に影を落とすということをやめないといけない。

その観点から、この二人がやっていることは本当に重要だし、LGBTというのは当事者だけでなくてストレートな人たちもそこのところを理解して、少数派にとって住みやすい社会が社会全体にとっていい社会なんだと、こういうことで考えないといけないと思うんですよね。

一見、別の問題のように見えますけれど、たとえば地域ネコ活動だってそうですよ。最近、ネコがたくさん殺される事例があって、地域ネコも殺されているんだけれど、確かに迷惑をかけるネコもいる。でも社会のどこで折り合いをつけるかという動物との関係。

あるいはペット。ペットが鳴く。それにどういうふうに対応したらいいか。あるいは子どもだって集合住宅で足音や高い声を出すから、どういうふうに対応するか。見ようによっては、みんな少数派になる可能性を抱えているわけですよね。そういうことへの想像力というのが、どう及んでいくかという問題だと思うんですよ。

だから、LGBT問題というのはLGBT問題だけに限らず、日本全体にとって少数派の人たちが安心して暮らせる――それは自分もある局面においては少数になる、私だってもしかしたら脳梗塞を起こして身体の半分が利かなくなるようなことになってリハビリに入れば少数派になるわけで、そういうことにおいての想像力なんですよね。

邦丸: この増原裕子さんと東小雪さん、くにまるジャパンにも何度かご登場いただいて、私がこの二人も含めて今、LGBTを広めてみなさん、共有しましょうよという人がいるんだということをまず理解して、そしてこの社会のなかで一緒に歩んでいきましょうという活動をしているんですけれど、この二人をはじめみんないいなあと思うのは、たおやかなんですよ。

権利をブワーッと声高に言うのではなく、一つひとつていねいに説明して理解を求めていくという、この二人をはじめとするこの活動を見ていると、非常にアタマが下がる思いがしますけどね。

佐藤: しかし、まだいろいろな限界があるので。戸籍上の限界がある。「結婚」という形では住民票上の限界がある。その結果、何が出てくるかというと、養子なんですね。

要するに、自分たちは生物学的な形での子どもというものをつくることはできないんだけれど、子どもを育てていきたいという思いを持っている場合に、養子を迎えるというのが今、この状態では非常に難しいでしょ。だから、この養子の問題も併せてきちんと解決しないといけないと思うんですよ。

逆に、育てることができない、あるいは遺棄されちゃっているということで、児童相談所の保護下にある子どもたちがたくさんいるわけで、その子たちというのはこういった同性婚をしている人たちの家に引き取られ、そこで愛情で育まれることによって、社会に出て行く。

少数派を大切にするということは、経済にも効果があるんですよね。要するに、納税者を多くつくっていくということになりますから。社会から排除していくというのは、これはなかなか納税しないようなところで働くとかいうような仕事になってくる。

あるいは、遺棄されちゃった子どもたちがいろいろな環境で十分な教育を受けないということだと、就職が非常に狭められて、生活保護とか受けることになる。

ところが、きちんとした形で生活をして、社会に出て行くことができるようになったら、普通に働く。普通に働くと納税しなければならないでしょ。これが経済を強化するし、国家を強化するんですよ。納税者ってすごく重いんですよね。

だからトータルに考えると、このお二人がやっていることというのは、その連鎖からして本当にアベノミクスにも貢献するわけなんですよ。

・・・この続きは、佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol.072(2015年11月11日配信)に収録しています。

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