辺野古・基地移設問題「血の衝突」は回避可能か?
~東大大学院教授が提唱する、第三の選択肢

ついに国が県を提訴!
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93名の研究者が安倍政権に異例の声明

辺野古への米軍基地移設反対を掲げる翁長雄志・沖縄県知事が、辺野古沿岸部の埋め立て承認取り消しを表明したのが約一ヵ月前。これを受けて、安倍政権は「承認取り消しは違法であり、公益を害する」として、辺野古の新基地建設を強硬に進めようとしています。

安倍政権は、安保法制でも、川内原発の再稼働でも、慎重論や反対論が多かったにもかかわらず、その声に耳を傾けることはありませんでした。しかし、辺野古新基地問題においてほど、民意を無視する態度が露骨に現れているところはないでしょう。

沖縄では、仲井眞前知事が公約違反の辺野古埋め立て承認を行なったとして、県民の怒りが沸騰し、14年1月の名護市長選挙、同年11月の沖縄県知事選挙、そして昨年末の衆議院選挙沖縄選挙区において、すべて「米軍基地県内移設反対」の候補が勝利しました。

世論調査でも沖縄県民の7〜8割は辺野古移設に反対です。にもかかわらず、それを強引に進めようとしているのです。

普天間米軍基地の辺野古への移設計画を巡り対立する安倍政権と沖縄県。ついに政府が沖縄を提訴する事態にまで発展した。国はこのまま、強硬に基地移転を進めるのか。住民との激しい衝突によって、沖縄に血が流れるのか。

「辺野古」でも「普天間固定化」でもない、もうひとつの選択肢を、『沖縄の米軍基地~「県外移設」を考える』の著者、高橋哲哉・東京大学大学院教授が提示する。

翁長知事は前知事の埋め立て承認に「法的瑕疵」があったとして承認を取り消しましたが、政府はこれに対して、本来国民が行政上の不利益を受けたときに使う制度である行政不服審査に「私人」の立場で訴え、同時に、国が知事に代わって取り消しを撤回する「代執行」の手続きを開始、取り消しを適法とする翁長知事を提訴しました。

政府が「私人」になりすまし、また「私人」と国の立場を都合良く使い分けるやり方には、行政法研究者93名が「法治国家にもとる」との異例の声明を出しました。安倍政権にとって、「法の支配」は建前でしかなく、法律は強権を押し通すための道具でしかないのでしょうか。

「負担は沖縄に、恩恵は本土に」

政府と沖縄県の集中協議の中で、菅義偉・官房長官が語った言葉には驚きました。翁長知事が沖縄戦や米軍占領の歴史、明治の琉球併合にまでさかのぼって県民の「魂の飢餓感」を説明しました。

それに対し、菅官房長官は「私は戦後生まれなので沖縄の歴史はなかなか分からないが、19年前の日米合同会議の辺野古が唯一というのが私の全てです」と返したのです。

この国の権力の中枢にいる人物が、1994年までの沖縄の歴史を「分からない」とは、耳を疑うしかありません。