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なぜ旭化成建材は氷山の一角なのか?
〜「ウソつきマンション」 これから始まる本当の悲劇と怒り

〔PHOTO〕gettyimages

内部告発「手抜き工事は旭化成だけじゃない」
薄利多売の商売なもんで

「マンションの施工上の瑕疵については、年がら年中ご相談をいただいています。一番多いのがタイルの剥離。築年数が古くない物件なのにタイルが落ちてくる、と。あとは、建物の柱や梁に大きな亀裂が入っているとか、屋上から水漏れが発生しているとかです。こうしたご相談は毎日のようにあります。

しかし、ほとんどの場合、施工主らは自分たちの瑕疵を認めない。たいていは『地震のせいだ』などと言って逃げられてしまう」(NPO法人『集合住宅管理組合センター』の阿部悠一氏)

旭化成建材の一件は氷山の一角。

全国のマンションでは毎日のように「手抜き工事」による欠陥が見つかるが、表沙汰にはならずにもみ消されている。

それがマンション業界の実態だ。

中堅デベロッパー幹部は言う。

「そもそもマンション事業というのはデベロッパーにとって利益率が低い商売で、薄利多売というのが現実。だから、低予算を押し付けられる施工業者にとってもおいしい商売ではないわけです。いい施工業者は割のいい公共事業をやりたがるから、マンションの現場に来るのはそれより『格下の業者』となりやすい。手抜きをするつもりがなくても、完璧な工事ができない業者が出てきてしまう」

最近では、住友不動産と熊谷組が組んだ『パークスクエア三ツ沢公園』で「欠陥工事」が発覚。三菱地所レジデンスと鹿島建設が組んだ『ザ・パークハウスグラン南青山高樹町』でも「手抜き工事」が明るみに出たばかり。大手デベロッパーと大手ゼネコンが手を組んだブランドマンションでも不祥事が相次いでいるから、恐ろしい。

中堅ゼネコン幹部は言う。

「業界はとにかく人手不足がひどい。だから、これまでマンションを手掛けたことのない業者に頼んで、下請けに入ってもらうケースすら出てきている。そのうえ、資材高騰の中で建設費を極限まで抑えなければいけないから、『安値受注』する業者に依頼しがちにもなる。欠陥マンションが生まれるべくして生まれる条件が揃っているんです」

かつて耐震偽装問題で騒がれたヒューザー元社長の小嶋進氏は、「欠陥マンションが建たないとは誰も断言できない」と指摘する。

「今回の横浜マンションの一件は、施工段階で『偽装』が行われていた。日本では施工上の偽装を見抜く検査体制が脆弱なため、こうしたことが起こり得るわけです。仮に同様の偽装が行われていたら、誰にも気づかれない瑕疵を抱えたマンションが日本全国に存在することになりかねない。検査体制を整えない限り、欠陥マンションは防げないと思います」

マンションの安全神話は幻想だ。

実際、旭化成の平居正仁副社長は本誌記者に次のように答えている。

「すべて正しく検査をされ、正しくオッケーが出ていたとして、何らかの形でミスが起こる可能性はゼロではない」

問題が起きる可能性はゼロではない、ないとは言いきれない—。

これこそがマンション業界の偽らざる「本音」なのである。

マンション評論家の榊淳司氏は言う。

「絶対安全と言い切れるマンションはこの世にはひとつもない。われわれは、常に一定の確率で欠陥マンションを掴まされる可能性がある。マンション購入とは、つまり、その『ババ抜き』のババを引くかどうか。その賭けをしているのと同じことなのです」

ババを引いてしまえば、待っているのは地獄でしかない。

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