ブルーバックス
容疑者はみんな数学者
〜ヨーロッパで大絶賛の「数学ミステリー」が待望の邦訳

『数学ミステリー X教授を殺したのはだれだ!』
〔photo〕iStock

完全犯罪は実行できるのか?

舞台は1900年のパリ。史上もっとも重要と目された数学会議の最中、世界的に有名な天才数学者X教授が何者かによって殺された。

容疑者たちは会議に出席していたこちらも天才数学者ばかり。アリバイがあるのだが、すべて数学で供述されているという。しかも容疑者全員に殺人の動機が……。ヨーロッパで絶賛の、数学ミステリー。

まえがき

 いま、あなたが手にしているこの本は2種類の読者を想定している。数学について知識が少しある読者とまったくない読者だ! 

 これは実際の事件に基づいたフィクションで、登場するヒーローたちは数学の歴史に足跡を残した実在の人物たちだ。舞台は1900年、パリ。容疑者が史上最高の数学者たちという、殺人事件ミステリーだ。容疑者たちの警察への供述がそれぞれ数学の問題とつながっていく。

 1番目の種類の読者は問題を解いて、容疑者に正当なアリバイがあるかどうか見極めることに挑戦できる(中学程度の数学知識で充分)。もう一方の種類の読者はこの作業を飛ばしても大丈夫。いずれにせよ、すべての読者が物語の筋についていくことができるだろう。

 パリの通りをぶらぶらし、セーヌ川岸をそぞろ歩く旅に、みなさんを招待しよう。そこで出会うのは、たった一つのひらめきに人生をささげた人々や、自分の研究の正しさを証明するためにどうにもならないように見える逆境を克服した人々、エキセントリックで傲慢な人物たち、はたまた、宗教的な先入観にとらわれた者もいれば、歴史の裏側へと転がり落ちた排他主義者たち、5次方程式をてなずけておきながら運命的な恋に抗えなかった19歳もいる。

 みなさんは渡ることのできない橋にも遭遇するだろう。黄金を求めて一つの数を見つけ、フェルマーの最終定理の証明がどうやって殺人の動機となったのかを知り、数学上のパラドックスに突き当たるのだ。そして最後に、未知のXという人物の背後に、どんな有名人が隠れているかを発見するだろう。

 ベルエポックのパリを背景に、数学史上最高の偉人たちが時を旅し、現実とファンタジー、そしてもちろん数学が混ざり合った筋書きのなかで、その本性や情熱や弱さを明らかにしていくのだ。

原作 トドリス・アンドリオプロス 
1967年にギリシャのアテネで生まれる。現在、テッサロニキのアナトリア・カレッジで数学を教える。「Who killed Mr.X ?(ミスターXを殺したのはだれだ?)」プロジェクトが、2009年の第6回マイクロソフト・ヨーロッパ・イノベーティブ・ティーチャーズ・フォーラムで第3位、ギリシャ教育・宗務省から「エクセレンス・アンド・イノベーション・イン・エデュケーション賞」受賞。2010年1月、ドイツのマイクロソフト社の「今月の教師」に選ばれる。数学への情熱に加え、トランプのブリッジの熱烈なファン。妻と2人の子供たちとテッサロニキに暮らす。

漫画 タナシス・グキオカス
イラストレーター。幼い頃から近所の子どもたちといっしょに漫画を読んだり描いたり、裏庭で大騒ぎして遊ぶ毎日を過ごす。成長(?)したいまは、本や雑誌のイラストレーターとして働く。学校のテストはあまりできなかったが、第6回地質工学および地球環境工学会議の公募ポスター作品が、ギリシャ工学会によるコンペで1位を獲得。漫画をこよなく愛している。

訳 竹内薫(たけうち・かおる)
サイエンス作家。1960年生まれ。東京大学教養学部教養学科、同理学部物理学科卒。マギル大学大学院博士課程修了(高エネルギー物理学理論専攻、理学博士)。「サイエンスZERO」(NHK Eテレ)など、科学コミュニケーションでもお馴染み。著書に『99.9%は仮説』(光文社新書)、『不完全性定理とはなにか』(ブルーバックス)、翻訳に『マンガ エニグマに挑んだ天才数学者チューリング』など多数。

訳 竹内さなみ(たけうち・さなみ)
翻訳家・作家。青山学院大学文学部英米文学科卒業。共著に『シュレディンガーの哲学する猫』(中公文庫版・イースト・プレス版)、訳書に『脳神経学者の語る40の死後のものがたり』(筑摩書房)など多数。
『数学ミステリー X教授を殺したのはだれだ!』
容疑者はみんな数学者

トドリス・アンドリオプロス=原作
タナシス・グキオカス=漫画
竹内薫/竹内さなみ=訳

発行年月日: 2015/11/20
ページ数: 192
シリーズ通巻番号: B1946

定価:本体  980円(税別)
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(前書きおよび著者情報は初版刊行時点のものです)

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