夏のヴァカンスを1ヵ月もとるフランス人のほうが、働きづめの日本人よりも豊かな生活を享受できているのは何故なのか?
〔PHOTO〕gettyimages

日本は本当に豊かになったのか?

パリ、ロンドン出張は、多くの要人と会談したり、また都市の様々な姿を視察したり、文化の在り方について考えたりと、じつに実り多いものであった。政治や外交や経済の分野でのヨーロッパの動きについては、先週の本コラムで記したので、今回は、都市に住む人々の生活に焦点を当てて論じてみたい。

いつも引用する森記念財団都市戦略研究所「世界の都市総合力ランキング」では、1位がロンドン、2位がニューヨーク、3位がパリ、4位が東京、5位がシンガポールとなっている。

国連の統計によると、2030年には地球上の人口の6割が都市に住むという。それは、都市には集積による利点があるからで、この流れを強制的に変更しようとしても無理である。いま、国家間の競争よりも、都市間の競争が熾烈になっている。

都市ランキングは、経済、環境、文化、交通、福祉など様々な指標によって組み立てられているのだが、イギリスの雑誌『Monocle』によると、「生活の質」という視点では、東京が世界一になっている。

嬉しいことである。私も同雑誌にインタビューを受けて、東京の魅力を世界に向けて発信しておいた。ただ、まさにその「生活の質」という点では、東京にも、さらに改善すべき点が多々あるように思う。

私は若い頃、フランス、スイスを中心にヨーロッパで学び、生活した。それからもう40年が経つ。確かに日本は経済大国になったが、ヨーロッパに比べて本当に豊かになったのであろうか、という疑問を、私は常々抱いている。今回の英仏訪問の際にも、その思いを強くしたし、実はそれこそが都市ランキングで東京がパリやロンドンの後塵を拝している理由なのかもしれない。

単純化して分かりやすく言えば、夏のヴァカンスを1ヵ月もとって労働時間が少ないフランス人のほうが、働きづめの日本人よりも豊かな生活を享受できているのは何故なのか、ということである。

森記念財団「世界の都市総合力ランキング」より
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